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2014年9月28日 (日)

気になるニュース 682

 

電力会社に有利じゃん・・・
引用書き起こし開始。 

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*再生エネ 受け入れ制限なぜ 送電網、蓄電池など壁 



九州電力が、再生可能エネルギーの購入受け入れを中断した。固定価格買い取り制度(FIT)は購入を義務付けているが、太陽光発電などが増えすぎたからだという。東京電力福島第一原発事故後、再生エネは2倍に増えた。でも、年間の発電総量のうちの2%にすぎず、決して多いとはいえないのだが…。(篠ケ瀬祐司、白名正和)
 


◆業者の費用負担重く
 

広い土地を確保しやすく、日照に恵まれた九州は、大規模太陽光発電の適地といえる。九電が7月までに、事業者や家庭と購入契約をした太陽光と風力発電の出力総量は1262万キロワット。夏のピーク時の需要の約8割に当たり、春や秋の約800万キロワットを上回るようになり、九電は家庭以外の電力買い取りを中断することにした。
 

これだけあれば、九州の全電力を賄えそうだが、そう簡単ではない。太陽光も風力も24四時間、安定して同じ量の電力を生みだすことはできない。
 

「供給と需要のバランスが大きく崩れると電気の周波数が乱れる。場合によっては、各発電機のタービンが壊れ、大規模な停電を招く可能性がある」と、九電の報道担当者は中断を決めた事情について説明した。
 

確かに、太陽光発電が最大出力の電気を作り出せるのは、昼の短時間に限られる。日差しの弱い朝夕の出力は少なく、夜間は発電できない。雨や曇りなどの天候でも出力は落ちる。風力発電も風の強弱で発電量が変わる。
 

では、蓄電池にためて、出力を調整してはどうか。実際に九電は、蓄電池を用意した発電事業者とは、今後も個別に購入契約を交渉する方針を示している。
 

ただし、蓄電池を用意する事業者は少ないだろう。九電も実証実験中だが、「蓄電池の準備には大きな費用がかかる」(九電関係者)からだ。経済産業省の2012年の資料によると、1キロワット時当たりで、ニッケル水素電池が約10万円、リチウムイオン電池が約20万円かかる。原発の余剰電力などで使う揚水発電の約23000円と比べると格段に高い。
 

送電網の整備も、再生エネ普及を阻む壁の一つだ。実は、再生エネ発電事業者が、送電線に接続すること自体を断られることもある。
 

再生エネ普及を目指す財団法人「自然エネルギー財団」(東京)が昨年、全国で行ったアンケートでは、変電所の容量不足などで接続を断られたり、送電網への接続工事の負担金が重いことを理由に、事業を断念したとの回答があった。
 

再生エネ発電事業者は、電力会社が持つ送電線の容量の空いている分を利用して、作った電気を販売する。容量を超える場合、事業者が送電能力の増強工事費を負担しなければならない。別の事業者が後から参入する場合は、費用を分け合う。
 

東電は7月、群馬県北部で、再生エネ発電への参入を希望する事業者を対象に、送電能力の増強工事で入札を行うと発表した。主なエリアの入札負担金は1キロワット当たり13500円を超える。事業者の設備容量が1000キロワットなら1300万円以上かかる。再生エネ発電業界からは「再生エネの利用を増やそうということなら、社会資本整備のあり方も考えてほしい」との声が漏れる。 

結局、再生可能エネによる発電量は全体の2%程度までにしか増えていないのに、早くも買い取り制度は行き詰まろうとしている。
 


◆価格改定など制度不備響く
 

FITの根拠となる再生可能エネルギー特別措置法が国会で成立したのは118月。議論は以前からあったが、福島第一原発事故後、普及を求める声が強まった。同法には、電力会社が再生エネの購入を「拒んではならない」と明記されている。
 

では、九電の購入受け入れ中断は違法ではないのか。経済産業省新エネルギー対策課の担当者は「九電は購入が可能か判断をしている段階なので、違法ではない」という。
 

同法は購入義務付けの一方、運用上の規則の中で、電気の供給に支障が生ずる恐れがある時には、契約を拒むことができるという例外規定も設けている。精査した上で、契約しなくても違法にはならないようだ。
 

九電以外の電力会社も、再生エネの買い取りを見送る動きはある。北海道電力は70万キロワット、沖縄電力は29万キロワットと太陽光発電の受け入れ上限の目安を設定済みだ。東電と関西電力は、送電線設備の不足を理由に、一部の地域で既に受け入れを制限している。北陸電力も担当者は「制約が発生する可能性はある」と話した。
 

FITが制度化されて、再生エネの発電量は急速に増えた。電力会社でつくる電気事業連合会(電事連)によると、原発事故前の10年度は115億キロワット時だったが、13年度は204億キロワット時と約2倍だ。特に目立つのが太陽光発電で、10年度の16億キロワット時から、13年度は92億キロワット時と5.7倍になった。
 

とはいえ、国内の発電量全体に占める割合は非常に少ない。原発事故前、水力発電を除く再生エネの発電量は全体の1%前後だった。13年度は全体(9397億キロワット時)の2.2%と倍加したとはいえ、十分とは言いがたい。ちなみに、太陽光発電は全体の約1%。
 

政府は再生エネの比率について、4月のエネルギー基本計画で、30年に約2割を上回る方針を示しているが、ほど遠いのが現状だ。
 

光明はなくもない。経産省が認定済みで、まだ稼働していない再生エネの発電量を合わせると、出力は7千数百万キロワット時に達し、計算上では国内の総発電量の20.5%に達する。
 

ただ、机上の数字に終わる可能性もある。買い取り価格が下がる4月を前に駆け込みで、土地も設備もないのに、とりあえず申請を済ませた業者もいるようだ。電力会社が買い取りを拒み始めているため、再生エネ発電がどこまで増えるかは見通せない。
 

電力会社の再生エネ発電の電気買い取りをめぐる問題について、富士通総研の高橋洋主任研究員は「買い取り価格の改定を年に1回しか行わないなど、制度の不備が影響した」と指摘する。
 

電気の買い取り価格は毎年下がっているが、「引き下げ前に認定を受ければ高い単価が適用される。だから認定申請が殺到し、九電が受け入れを中断した。改定を年数回に増やせば、希望者が殺到することはない」。
 

一方で、高橋研究員は「九電は今回、『九州外への送電などを検討する』と説明したが、これまでやってこなかったともとれる。九電側が限界の状態だとも思えない。電力会社としてもっと事前にできたはずだ」と言う。
 

九電が余剰電力を、中国電力や四国電力に送る送電網の整備は不十分だったといえる。東日本と西日本では周波数が異なるという壁もあるが、全国の送電網を強化しなければ、再生エネ発電の普及はままならないだろう。
 


[デスクメモ]
 
「再生可能エネルギー」という名称はおかしいと思う。発電後、太陽光や風力は再び生まれない。「永続利用可能エネルギー」などと呼ぶ方が実情に合う。半永久的に、ずっと使い続けられる資源なのだから。自然破壊や核戦争などで、SF映画のように、空が暗黒の雲に覆われることはないと信じている。(文)



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2014927日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014092702000168.html

 

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