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2014年9月 8日 (月)

気になるニュース 671

 

県は県民の健康はどうでもいいと思ってるんだろうか・・・
引用書き起こし開始。 

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*崩壊寸前の福島事故直後の行動調査 



福島原発事故直後に被災者たちがどう行動したのかを記録する調査が崩壊寸前だ。放射線による健康影響を調べるため、一人一人が浴びた線量を推計する切り札として福島県が3年前に始めた。しかし、全県民を対象にした行動記録の回収率は26.4%にとどまっている。これでは健康管理はおぼつかないが、県は有効な手だてを打っていない。本気で健康影響と向き合う気があるのか、という疑問の声すら上がっている。(榊原崇仁)
 


◆出足遅れ 記憶曖昧に
 

「毎回申し上げていますが、満足できるものではありません」。先月24日に福島市であった県民健康調査検討委員会。この席上、県双葉郡医師会顧問の井坂晶氏は低迷する回収率に不満をあらわにした。

国立がん研究センターの津金昌一郎氏も「一般的な世論査では、最低でも60%が求められる」と発言した。だが、県から調査を委託される県立医科大(県医大)の担当者は「どう回答率を向上するか、検討委で十分議論し、助言いただければ…」と受け流した。
 

行動記録の調査は、事故後の健康状況を調べる県民健康調査で「基本調査」と位置付けられている。200万人余の全県民が対象で、東日本大震災があった2011311日から4カ月間、どこにいたか、1時間単位で記録に残す。
 

県医大によると、外部被ばく線量はこの行動記録と場所ごとの空間線量などとを組み合わせることで唯一、推計できるという。
 

被ばく線量の濃淡が健康にどう影響するかを調べるには不可欠だ。さらにこのデータ抜きでは、影響があった際の立証が難しく、支援や賠償を求める根拠も乏しくなってしまう。
 

この健康影響ではとりあえず、甲状腺がんが焦点になるが、これを引き起こす放射性ヨウ素の内部被ばく線量の推計でも行動記録の活用を検討している。
 

ヨウ素は専用機器で被ばく状況を把握できるが、半減期が8日と短く、事故直後の測定が求められる。ただ現状では1000人程度のデータしかないため、新たな方法による推計が必要だ。
 

しかし、行動記録の回収率は低迷している。
 

行動記録を書き込む問診票の全県配布は118月に始め、記入後に郵送してもらっているが、回収率は同年11月末で18.0%。その後、微増という状況が続いてきた。
 

昨年11月には、打開策として移動距離が少なかった日は、時間などを省ける簡易版も使い始めた。
 

しかし今年6月末でも、回収率は26.4%。原発に近い相双地区だけでも45.3%と半数以下だ。県医大はこれらのデータから一般人の外部被ばく線量について「最高で25ミリシーベルト。健康影響は考えにくい」と発表しているが、県全体で約4人に1人の回答では、根拠が薄いと見ざるを得ない。
 

ただ、今から回収率を上げるのは簡単ではない。
 

避難指示区域の浪江町から二本松市の仮設住宅に避難する大学1年生の女性(19)は問

 

診票を返送していないが「避難先が4回ほど変わったし、もう記憶は曖昧」と回答をためらう。同じ仮設の女性(68)も未回答だが「はっきりと覚えてない。細かく思い出さないと、と思うと、面倒な気持ちが強くなる」と話した。


◆不備なデータで判断
 

事故直後の行動を記録する作業は記憶との勝負、時間との勝負だ。福島の行動調査の場合、出足の遅れが記憶を曖昧にさせた。
 

そもそも全県的な問診票の配布が始まったのは事故から5カ月後の118月だったが、県側が意図的に遅らせた節がある。
 

同年5月にあった県の内部会合では、インターネットで県民に行動記録を入力してもらい、外部被ばく線量を推計する試みが独立行政法人・放射線医学総合研究所から提案された。
 

これに対し、県側は「現段階では住民の不安をあおる」と強く批判し、中止に追い込まれた。つまり、混乱回避という理由で、行動記録をつかむ試みは先送りされてしまったのだ。
 

頼りにならない結果しかない現状だが、これを「利用」しているのかと疑いたくなる動きもある。
 

環境省は福島原発事故後の健康管理について議論する専門家会議を開いているが、元放射線影響研究所の長滝重信座長は7月の会議で、行動記録に基づく線量推計に触れ、「大半の人は5ミリシーベルト以下」という点ばかりを前面に押し出した。
 

データ不足なのに「被ばく線量は小さく、健康影響は考えにくい」という一方的な判断を打ち出すような姿勢は反発を呼び、翌月の会議では開会直前、市民団体のメンバーらは浮島智子環境政務官(当時)に座長解任の要請書を渡した。
 

調査方法が「県民の自己記入式」でよかったのか、という疑問もある。
 

京都大原子炉実験所の今中哲二助教らの研究グループは県とは別に、避難住民の行動を記録し、外部被ばく線量を推計した。同グループでは各世帯を巡回し、対面式で聞き取った。
 

今中助教は「相手の顔を見ながら、回答をお願いした方が協力を得やすい。正確さの面でも、対面方式の方が勝る。原発事故があってからの行動について、順を追って丁寧に聞くことで相手の記憶がよみがえる。『この時、世の中でこんなことが起きていましたけど、あなたはどうしていましたか』と水を向けることで、少しずつ思い出すことも少なくない」と語る。
 

今中助教らの調査は避難指示が遅れた飯舘村の住民が対象だが、昨年7月から10月という短期間にかかわらず、全村民約6000人の3割程度から回答を得た。
 

実は県医大も、対面式の調査が全く頭になかったわけではない。
 

「こちら特報部」が情報公開した資料などによると、問診票配布から約1年後の127月、県医大は有識者会議を開いている。
 

今後の大学のあり方がテーマだったが、県医大の重要事業になっている行動調査が話題になり、菊地臣一理事長は「いま選択を迫られている」と報告。対面調査で回収率を上げるか、全県民となっている調査対象を絞り込むか、という2つの道があると説明した。
 

そのうえで、対面調査を実施した際の費用は数十億円と語り「資金がかかりすぎる。それほど使えないという意見もある」と否定的な見解を述べた。結局、対面調査に切り替えないまま、現在に至っている。
 

「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」副代表の福田健治弁護士は「除染に毎年、数千億円かける中、行動調査の費用を渋る理由があったのか」と憤り、こう訴える。
 

「そもそも福島県に調査をまかせていいのか。費用の確保がどうのという以前に、信頼を失っている。さらに放射性物質が県境で止まらないということを考えると、県外でも行動調査をする必要がある。そうなれば、国が責任を持って対応しなければならない。いまの行動調査はもう限界。全面的に見直すべきだ」
 


【デスクメモ】
 
戦争責任についても記憶が問われる。敗戦からまだ20年ほどの1960年代には、娯楽映画でも中国での日本兵の実態が描かれた。勝新太郎主演の「兵隊やくざ」の連作が好例だ。反発がなかったのは客に体験があったからだ。記憶の薄れと比例し、歴史の書き換えが加速している。福島事故も同じ構図だ。(牧)



Photo


201498日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014090802000158.html

 

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