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2014年8月 7日 (木)

気になるニュース 652

 

毎時0.23マイクロシーベルトでもどうかと思うのに・・・
引用書き起こし開始。 

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*除染目標 事実上の緩和 個人線量重視まやかし 



環境省は、福島第一原発事故による放射能汚染の除染で、空間線量で毎時0.23マイクロシーベルトとしてきた目標について、個人が浴びる被ばく線量を重視する新たな方針を示した。除染しても目標値を達成できない地域が相次いだために、効率化を優先した事実上の基準緩和だ。住民の不安払拭(ふっしょく)には、ほど遠い。(榊原崇仁、上田千秋)
 


◆正確な計測は困難
 

「除染目標の緩和は住民の安全確保に逆行した動き。そもそもちゃんとした見直しの根拠があると思えない。数字のごまかしには、絶対だまされない」。福島県伊達市の主婦島明美さん(44)は憤る。
 

中学生の子ども2人を持つ島さんは、既に自宅の除染をしたが、周辺の空間線量は毎時0.40.5マイクロシーベルトまでしか下がっていない。
 

環境省は、個人線量計を重視した除染の方針を示した。個人線量計を基に調査した被ばく線量で換算すると、年間の追加線量が1ミリシーベルトとなるのは、空間線量で毎時0.30.6マイクロシーベルトの場所が多かった。この数値にあてはめれば、「除染は今後不要」と判断されかねない値だ。
 

環境省の個人線量を重視した方針転換は、住民の感覚とはかなりずれている。住民に個人線量計を常に持ってもらい、一人一人の被ばく線量を正確に把握するのは極めて難しいからだ。
 

伊達市は20127月から1年間、全市民に個人線量計を配って被ばく線量を測定する調査を行った。全人口の約8割に当たる52000人余りが協力したことになっている。
 

高校1年生の女子生徒(15)は「持ち歩くのは面倒くさい」と語る。個人線量計は「首からぶら下げて」と指示されたが、自宅の机の上が定位置だった。女子生徒の被ばく線量を測るというより、机の上の線量を調べていたのが実際のところだ。
 

別の高校1年の男子生徒(15)は通学用のかばんの中に入れていたが、かばんを持ち歩くのは平日のみで、週末は自宅に置きっ放しになっていた。
 

「ずっと車の中に置いていた」と話す主婦(73)もいるが、車に乗るのは買い物の時ぐらいだ。
 

モモ農家の男性(64)は日中、屋外で農作業に汗を流しているが、「個人線量計を首から下げるのは仕事の邪魔になる。だから一日中、家の中に置いていた」と話す。
 

夫婦2人暮らしの主婦(62)は、自宅の軒下に2人分の個人線量計をぶら下げていたという。
 

環境省の新たな方針は、同省と福島、郡山、相馬、伊達の4市でまとめた勉強会の中間報告の中で示された。
 

中間報告では、4市の住民計7万人余りに1カ月~1年の間、個人線量計を持って生活してもらったところ、年間の追加被ばく線量が推計1ミリシーベルトになるのは、空間線量が0.30.6マイクロシーベルトの地域に住んでいる住民が多いことが分かったとする。
 


◆住民を無視 帰還ありき 「国の本音は無駄金削減」
 

政府はこれまで、長期の除染目標を、年間追加被ばく線量1ミリシーベルトと規定。一定の生活パターンを想定して1時間当たりの空間線量を算定すると、毎時0.23マイクロシーベルトになることから、これを各自治体が除染目標としてきた。中間報告では「被ばく線量は生活パターンによる差異が大きい。空間線量率に基づく除染による対応のみでは、被ばく線量低減に結び付かない」とし、個人被ばく線量に基づいた除染に転換すべきだとした。
 

福島市で1日に会見した井上信治環境副大臣は「個人線量を基準とすることで、きめ細かい対応ができる。除染を加速し、復興を進めたい」と強調した。
 

伊達市の仮設住宅に避難している渡辺計・飯舘村議(56)は「なぜ4市の意向だけで国が動くのか。住民の意向というより、役所の要望にしかすぎない。除染しても線量がなかなか下がらないから、数字のごまかしを国に促したとしか思えない」と切り捨てる。「国も『除染しても無駄』『無駄金は使いたくない』と考えたのだろう。まったくふざけた話だ」
 

全村避難する飯舘村の住民が抱くのは、単に「いいかげんな除染が横行する」という危惧だけではない。
 

伊達市の仮設住宅で暮らす村民の女性(60)は「国は除染を無理やり終わらせ、早く帰還させようとしているに違いない。これ以上、除染にも避難にもカネを出したくないというのが本音のはずだ。彼らにとって私たち避難者の意向は二の次、三の次。会議室の中、テーブルの上で都合良く話を進めているだけだ」と怒りを口にした。
 

中間報告は「毎時0.23マイクロシーベルトは、年間1ミリシーベルトを単純に1時間当たりの空間線量率に置き換えただけで、国が目標として定めた数字ではない。これまで訂正する説明や周知が不足してきた」とも記している。
 

環境省除染チームの玉谷雄太参事官補佐は「あくまで4市との勉強会の中間報告で、除染や放射線防護に関する知見を示した。誤解されているが、年間1ミリシーベルトという基準を変更する考えはない」と話す。
 

とはいえ、環境省が、新たな考えを示せば、各市町村とも「0.30.6マイクロシーベルト」という数字に引きずられかねない。
 

国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花(みつたかんな)理事は「これまでの環境規制のあり方を根底から覆す発想だ」と話す。
 

大気汚染や、工場から排出されるばい煙などの基準を決める際、これまで国や自治体が根拠としてきたのは空間の濃度だ。「個人の管理を前提とした基準など、これまではなかった。個人の責任にするようなやり方が許されるのか」と疑問を呈す。
 

満田氏は「毎時0.23マイクロシーベルトは最低でも堅持すべきラインだ」と説く。
 

「その上で土壌汚染の対策や、健康調査をする範囲を広げるかどうかといった点を考える必要がある。そもそも今回の中間報告には、最大のステークホルダー(利害関係者)である住民の意見が反映されていない。住民のためになるとはとても考えられない」
 


[デスクメモ]
 
原爆が投下されてから69年。いまだに健康被害に苦しむ人たちが大勢いる。原爆と原発。いったん汚染されたら、その被害は、長い間続くということでも共通点はある。3年余が経過し、除染は簡単ではないことが分かってきた。基準を緩めるのではなく、その事実を直視することから始めるべきだ。



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201487日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080702000138.html

 

 

 

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