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2014年8月 6日 (水)

気になるニュース 651

「国民が安全保障に臆病」発言はこちら
引用書き起こし開始。

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*続・菅官房長官発言を考える 「川内原発同型は審査簡略可能」なのか



「川内(せんだい)原発と同型炉なら審査の効率化は可能じゃないですか」。菅義偉官房長官が、原発再稼働に向けた原子力規制委員会の適合審査をめぐり、そう発言した。地震想定や津波対策など、原発ごとに課題はさまざまなのに、あまりに安全を軽視している。「国民が安全保障に臆病だから」という暴言もあった。再び、菅発言を考えてみた。(三沢典丈、白名正和)


◆再稼働の既成化狙い

「審査の簡略化などできるはずがない」。脱原発を目指す市民団体「たんぽぽ舎」(東京都千代田区)の柳田真代表は真っ向から否定した。

菅氏の発言は先月31日。自民党の電力安定供給推進議員連盟とのやりとりで出たもので、菅氏自身が記者会見でこう説明した。

「川内原発の審査は、新規制で初めてのこと。その後の審査で、川内原発と同じ型の炉であれば、審査のノウハウを活用してですね、審査の効率化というのは可能じゃないですかと、そういうことは申し上げました」

規制委は先月16日、九州電力川内原発12号機(鹿児島県)について、新規制基準の「適合」を認めた。川内原発のほか11原発17基が審査を申請中。そのうち5原発10基が、川内原発と同じ加圧水型の原子炉で、他は福島第一原発と同じ沸騰水型だ。

しかし、同型でも、柳田氏は「加圧水型原子炉はオーダーメードで、それぞれ別のもの。さらに、想定される地震の規模も異なる」と指摘した。各電力会社が審査を申請する際に耐震設計の目安とした地震の揺れ(基準地震動)は、川内原発の620ガルに対し、関西電力高浜原発は700ガル、四国電力伊方原発は620ガル。「車検で、一台の車両が合格すれば、同じ車種の車両の検査を半分に省略できるようにするもの。許されない」

「菅氏の発言は、早く原発の審査を終えたいという本音なのでしょう」。規制委に対しても、「本来、『審査をなんだと思っているんだ』と苦言を呈すべきなのに、なぜ黙っているのか」と批判した。

実は、川内原発の審査も全ては終わっていない。終わったのは全体像を示した「原子炉設置変更許可」だけだ。この変更許可を基に各機器の耐震設計を見直した「工事計画」と、運転・事故時の人員態勢などをまとめた「保安規定」は今も修正を続けている。

特に、工事計画の書類は1号機が5000ページ、2号機が4000ページと膨大で、修正が終わる時期は「現状では分からない」(九電の広報担当)。規制委への書類提出は9月以降になりそうで、その後の審査に1カ月、機器検査に12カ月を見込むと、再稼働できるとしても、今秋どころか年末がやっとの状況だという。

「反原発・かごしまネット」(鹿児島市)の向原祥隆(むこはらよしたか)事務局長は「上流のダムを一つ決壊させれば、下流のダムも次々と決壊するということなのでしょう。だが、川内が終わる前から、次の原発の再稼働を考えているとは、あきれてものも言えない」と話す。

立地自治体の薩摩川内市が再稼働容認の姿勢を見せる一方、隣接のいちき串木野市は過半数の市民が反対署名をし、30キロ圏内の姶良(あいら)市議会が廃炉決議をするなど、鹿児島県内でも脱原発の活動は続いている。「川内はまだまだ終わっていません」(向原氏)


◆原発ごとに条件異なる

「政府と電力業界には原発を次々と再稼働させ、原発の稼働を既成事実化したいという考えがあり、その流れで今回の菅官房長官の発言も出たのではないか」。発言の背景について、慶応大の金子勝教授はこう分析した。

確かに、安倍晋三首相は再稼働に前向きの発言をしている。規制委が川内原発について事実上の「適合」判断をした2日後の先月18日、九州の財界関係者から早期の再稼働を求められ、安倍首相は「川内は何とかする」と答えた。

電気事業連合会(電事連)の八木誠会長(関西電力社長)も同じ日、記者会見で「(川内原発の)審査書案がひな型となり、ほかの原発の効率的な審査につながる」と発言した。菅氏の発言を超え、川内原発以外の全ての原発の適合審査を簡略化できるという趣旨に取れる。

脱原発弁護団全国連絡会の海渡雄一弁護士は「原発ごとに地震の大きさ、津波の影響も変わる。老朽化の具合も違う。それぞれの原発の事情を考慮することなく審査を簡略化するようなことは、あってはならない」と、菅氏の発言を批判した。

適合審査には直接関係しないが、政府は原発事故時の避難計画などのきめ細かい配慮も求められるが、菅氏の発言からは伝わってこない。

川内原発の半径30キロ圏内の避難計画では、避難経路の確保について十分な説明はされていない。事故時の風向きによって逃げる方向が変わるという住民からの指摘にもこたえていない。

原発事故で放射性ヨウ素が飛散した際、甲状腺被ばくを防ぐための安定ヨウ素剤の市民への配布も、各原発で事情が異なる。鹿児島県と薩摩川内市は先月27日、規制委の指針に基づいて川内原発から5キロ圏内に住む3歳以上に配布した。全国初の試みだが、受け取ったのは約2400人。対象者約4700人の半分強にとどまっている。

中部電力浜岡原発では、安定ヨウ素剤配布の対象者は5万人で、全員への配布は川内原発以上に困難だ。北海道電力泊原発では、5キロ圏内の共和町が事前配布せず避難時に配る方針を取っている。

元東芝の原発設計技術者で、科学技術のあり方を考えるNPO法人「APAST(アパスト)」理事長の後藤政志氏は、「原発に航空機が衝突しても炉心が生きているという前提で、新規制基準は考えられている。基準自体に問題は多く、適合しても全然安全ではない」と話す。

規制委の田中俊一委員長も先月16日の記者会見で、「安全審査でなく、基準の適合性を審査した。安全だということは私は申し上げませんと、国会でも答えてきた」などと話した。つまり、菅氏の「安全軽視」の姿勢は根本的に誤っているというわけだ。

それにしても、菅氏は先月28日に集団的自衛権の行使容認をめぐって「国民が安全保障に臆病」と発言し、物議を醸したばかりだ。手堅いイメージがあったのに、「問題発言」が続いた理由について、エコノミストの紺谷典子氏はこう分析した。

「安倍首相の影響で、『自分たちが正しい』『思った通りにやろう』という考えが広まり、かつ強まっているため発言が続くのではないか。政権のおごりという面もある。今後、問題とされる発言が続いても、私は驚かない」


[デスクメモ]
九州電力の今年46月期の経常損益は365億円の赤字。川内原発再稼動で、月々200億円の収支が改善するという。だが、まだ再稼働は決まっていない。15日までパブリックコメント募集中。規制委のサイトhttp://www.nsr.go.jpで意見を書くか、用紙をダウンロードして郵送かファクスする。(文)



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201486日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080602000147.html

 

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