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何が何でも健康影響は認めたくないのか・・・
引用書き起こし開始。
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*JCO事故
健康影響認めず 補償なき健診 15年目
核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所(茨城県東海村)の臨界事故からまもなく15年を迎える今も、同県は年1回の住民健康診断を実施している。東京電力福島第一原発事故をめぐる国などの健康管理と比べると、対象者を幅広く捉えている点は参考になるものの、被ばくによる健康への影響を否定しようとする姿勢は変わらない。(榊原崇仁)
【JCO事故】
1999年9月30日、濃縮ウラン溶液の製造工程で核分裂が続く臨界事故が発生し、作業員2人が死亡。350メートル圏内で避難要請が出たが、600人以上が被ばくした。国際原子力事象評価尺度(INES)ではレベル4。福島原発事故は最悪のレベル7に分類される。
◆1ミリシーベルト超 対象は広いが…
JCO事故の健診は、茨城県が国の財政支援を受けて2000年度から始めた。事故発生時に避難要請のあった350メートル圏内の居住者に加え、事故時の被ばく線量が1ミリシーベルトを超えると見積もられた住民も無料で受診できる。1ミリシーベルトは一般住民にとって法定の年間追加被ばく限度の値だ。受診者は年200~300人程度で推移している。
一方、福島事故では、被ばく線量が年間1ミリシーベルトに達すると見込まれた地域は、福島県だけでなく、岩手や宮城、茨城、栃木、千葉の各県など東北や関東の広いエリアに及ぶ。にもかかわらず、国費による健診は福島県内に限定されている。
福島事故後の健康管理を議論する環境省の専門家会議では、健診拡充に消極意見が目立っている。これに対し、放射線医学総合研究所元主任研究官の崎山比早子氏は今年3月の会議で、外部識者の立場で発言。JCO事故の健診を引合いに、年間1ミリシーベルトを超える地域すべてにおいて健診を実施するよう求めた。
崎山氏は「JCO事故後にできたことが、なぜ福島事故でできないのか。対象者が膨大な数になるというのは理由にならない。人間の健康とコストはてんびんにかけていいものではない」と話す。
7月16日の会議では、外部識者として意見を述べた福島県医師会の木田光一副会長も、やはりJCO事故の健診に触れ、「福島県外でもホットスポットがある。一定の線量を超える地域はフォローアップの体制が必要だ」と訴えた。
とはいえ、JCO事故の健診を丸のみはできない。そのメニューは問診や尿検査、各種がん検診。福島事故で多発が懸念されている甲状腺がんの検査は含まれていない。福島事故と違い、甲状腺がんを引き起こす放射性ヨウ素が大量放出されたわけではないからだ。
さらに問題なのが健診の目的だ。
JCO事故の健診は、国の原子力安全委員会(当時)の健康管理検討委員会が基本的な枠組みを示した。検討委は、周辺住民の被ばく線量が50ミリシーベルト未満にとどまると判断。健康影響が発生する可能性は極めて小さく、健診では放射線と病気の因果関係は調べないと決めた。
東海村議で市民団体「脱原発とうかい塾」代表の相沢一正氏は「住民が健診を求めたのは放射線の影響を調べてほしかったからだ。『健診はやるが因果関係は調べない』というのは、何のために健診するのかと強い疑問を持った」と振り返る。
そもそも因果関係を調べないということは、健診で病気が見つかっても治療面での支援や補償は行わないことを意味する。相沢氏は「JCO事故を踏まえて福島事故の健診を考える場合、何を参考にすべきかしっかり見極めることが大切だ」とくぎを刺した。
2014年8月4日 東京新聞朝刊 こちら特報部:[ニュースの追跡]より
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