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2014年8月 3日 (日)

気になるニュース 645

 

アップし忘れたsweat01
引用書き起こし開始。 

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*「国民は臆病」菅発言を考える 議論避ける政権 戦争起こすよりまし 



「国民が安全保障に臆病だから」。菅義偉(すがよしひで)官房長官が、安倍内閣の支持率が下降傾向にあることに関連し、こう発言した。集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定に国民の反発が強いことへの、いら立ちの表れなのか。そもそも日本の国民は臆病なのか。本当の臆病とは何なのか。菅発言を考えてみた。(出田阿生、鈴木伸幸)
 


◆築いてきた70年の平和 「戦後の日本 否定」
 

菅官房長官のこの発言が飛び出したのは、728日。首相官邸であったカナダのベアード外相との会談の場だった。ベアード外相が「安倍政権の経済政策はうまくいっているのに、なぜ支持率は落ちているのか」と質問。菅官房長官は「国民が安全保障に臆病だからです」と答えた。
 

この会談では、ウクライナ情勢や経済連携協定(EPA)などについて協議。菅官房長官は、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定など安全保障政策も説明した。ベアード外相は「方向性を支持する」と述べたという。
 

実際、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した同月1日以降、内閣支持率は、各メディアの世論調査で軒並み下落傾向にある。共同通信社の同月12両日の調査では、内閣支持率は47.8%。前回6月から4.3ポイントも下落した。50%割れは、特定秘密保護法成立直後の昨年12月以来だ。時事通信の1114日の調査でも、前月比6.4ポイント減の44.6%に落ち込んだ。これは、第2次安倍政権下で最低だ。
 

国民の多くは、他国を武力で守る集団的自衛権の行使に踏み切った場合、戦争に巻き込まれるのではないかという強い不安感を抱いている。
 

作家で昭和史研究家の半藤一利氏は「平和で平凡な日々が、70年近くも続いてきた。これは日本人の努力で築かれた価値のあること。それを臆病というのなら、戦後の日本人の生活そのものを否定しているのと同じではないか」と話す。
 

14歳で東京大空襲を経験した。周りは火の海。黒焦げの遺体がそこら中に転がっていた。「目の前で、子どもを抱いたお母さんの体に火が付いた。髪の毛がかんなくずのようにパアッと燃え上がり、焼け死んだ。あんな光景を繰り返したくないと思う気持ちが臆病というのなら、私は腰抜けと言われても結構だ」と断言する。「戦争体験者が臆病になるのは当然。たとえ体験していなくても、想像力があれば分かる話なのに」 

「臆病」という言葉には、相手への侮蔑の意味が含まれている。岡田憲治専修大教授(政治学)は「安全保障についての政府の考えに国民が賛同しないのは、怖がりのバカだからですと言っているに等しい。どれほどタカ派でも、自民党の政治家が、こんな言い方をしたことはない」と驚く。
 

「現代の戦争は、軍の組織同士だけが戦うものではなく、国民から社会的資源を根こそぎ動員する総力戦になる。資源を提供する側(国民)が不安だというなら、それを払拭(ふっしょく)するのが先決のはずだ。その十分な説明もなく国民を怖がらせているのはまさに政府であり、今回の発言は本末転倒だ。政治家の説明責任の本質が問われている」
 


◆「議論避ける政権こそ臆病」
 

防衛省出身で安全保障政策に詳しい元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は「どんな文脈で出た発言か分からず、解釈は難しい」とした上で、「一般論として『戦争体験があるから日本国民は安全保障が絡む問題に拒否感があり、議論することに臆病』という意味と言えるのではないか」と話す。
 

柳沢氏は、菅官房長官の発言がカナダのベアード外相に向けたものだったことに注目する。外交的に国連中心主義のカナダは、国連安保理などの決議に基づく国連平和維持活動(PKO)への派兵に積極的だ。アフガニスタンの治安維持活動に当たる国際治安支援部隊(ISAF)にも参加した。ISAFによれば、カナダ軍は今年3月に撤退するまでに、計158人が犠牲となった。米国の2338人、英国の453人に次ぐ人数だ。
 

「犠牲者を出すカナダは臆病ではなく、血を流さない日本は臆病─というような単純な話ではないが、集団的自衛権の行使容認は『カナダのように、犠牲者も出す』ということにもつながる。ある意味で、日本はそんなメッセージを国際社会に送ったことになる」
 

柳沢氏は「臆病なのは、自分が正しいかどうかを振り返ることのできる知的な行動の表れで慎重な態度」と解釈する。「『自分が正しい』と蛮勇を振るって戦争を起こすより、臆病でいる方がはるかにいい。臆病は否定的な言葉ではない」と言い切った。
 

作家の室井佑月氏は「国民を臆病だと言うような政治家は、日本が他国の戦争に参加する事態になった時に、自分自身は戦地に赴かない世代。戦地に行くかもしれない本人や親、家族はどう感じるのかということに想像力が働いていない」とあきれる。
 

環太平洋連携協定(TPP)交渉で、安倍政権は日本の権益をしっかり主張すべきなのに、米国に押し切られているように感じる。「米国に対し、臆病になっているように見える。今の政権が大企業ばかりを優遇するのも、選挙で応援してもらえなくなるのが怖いからだ。じゃあ臆病なのはどっちなの、と言いたい」
 

「過去の失敗を振り返ると『あの時、もっと臆病になっていれば…』と反省することが多々ある。臆病は慎重と同義語」と話すのはエコノミストの紺谷典子氏。「『私の内閣』『私の政府』と自分を強調して独断する安倍晋三首相に対して、国民が臆病になり『何かおかしい』と慎重になるのは当たり前の危機意識だと思う」
 

山登りが好きな紺谷氏は「登山や冒険は臆病になって慎重に準備をするから遭難などのリスクを低減できる。臆病にならなければ、単なる暴走。『国民が臆病』と表現するのは、自分たちが暴走しているという意識が少しはあるのかもしれない」と付け加えた。
 

「内閣の支持率低下の理由を集団的自衛権の行使を容認した閣議決定ではなく、国民の理解不足にすり替えようとしているのだろう」と精神科医の香山リカ氏は分析する。「精神医学では、『臆病』という用語があるわけではないが、この言葉には、『物事に直面しない』『おじけづく』といった否定的な意味合いがある。国民に対しては、失礼な言葉」
 

「集団的自衛権の問題に加え、今後、本格化しようとしている原発再稼動も国民に拒否感が強い。安倍政権はこうした本質的な問題では議論を避け、現実から逃避しようとしている。そこれこそ、臆病なやり方ではないか」と批判した。
 


[デスクメモ]
 
危険な非常事態に際会すると脚で考えようとする人。ビアスの「悪魔の辞典」の「臆病者」の項だ。その時になって、慌てて逃げるのではなく、事前に思慮をめぐらせるのは、臆病ではない。戦時中は「臆病者」という言葉が、多くの人を戦争に駆り立てた。言葉にも歴史があることを忘れてはいけない。(国)



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201481日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014080102000166.html

 

 

 

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