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2014年3月 2日 (日)

気になるニュース 470

 

「事故を直視することへの抵抗感は根強い」 「6人は地元の複雑な感情を背に、全国で上演を続けた」・・・知らなかった・・・
引用書き起こし開始。 

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*再び「今 伝えたいこと(仮)」 相馬高校放送局6人が卒業


福島原発事故後を生きる地元女子高生の本音が詰まった演劇「今 伝えたいこと(仮)」。全国的に評判を呼んだ作品を制作した福島県立相馬高校(相馬市)の放送局メンバー6人が1日、卒業式を迎えた。その高校生活は、震災後の3年間と重なり合う。被災地の復興は道半ばだ。「子どもの声を聞いて」と声を上げた6人は今後も、形を変えて「伝えたいこと」を伝え続けていく。(白名正和)


卒業式の会場は、3年前の入学式と同じ体育館。当時は窓ガラスが破れて雨風が入り込み、照明もつかずに薄暗かった。「希望にあふれていたはずの入学式は、不安だらけだった」と代表の生徒が答辞を述べる。放送局の6人は目を閉じてじっと聴き入った。

震災に見舞われたのは中学校の卒業式の日だった。避難所暮らしを余儀なくされた子もいるが、高校入学後は友達と遊び、原発事故のことは怖いけど、お互いを気遣って話題にはしない─。「1年生の前半までは普通の高校生だった」。脚本を担当した蓑野(みのの)由季さん(18)は振り返る。

もともと演劇部の所属だった。201112月、放送局顧問の渡部義弘教諭が「演劇を作ろう」と提案した。6人が手を挙げた。照明担当の渡部裕賀さん(18)は「震災を伝えることをやりたかった。風化させたくないと思っていた」と強調する。

筋書きは6人で話し合って考えた。「政府は健康に影響ないと言うが、本当か」 「将来結婚できないのか」 「自分が産む子に影響が出ないのか」。女性として、子どもとして、率直な思いを込めたのが「今 伝えたいこと(仮)」だ。

123月からの1年間、東京都や京都市、石川県など全国延べ7カ所で演じた。録画したDVDも約50カ所で上映した。「大人がこんな状況をつくったのに申し訳ない」 「テレビでは伝わりきらない事故の実態を知ることができた」。来場者は、女子高生の「本音トーク」に驚いた。

女子高生「桜」役の折笠愛矢さん(18)は「福島の代表ってわけじゃないけど、思いを伝えなきゃと前向きだった」。同じく女子高生「望美」役の伏見薫さん(18)も「上演やけいこに時間を取られて、できなかったこともあるけど、何もしていなかったら自堕落になっていた」と笑う。

6人の活動は、全国のメディアに大きく取り上げられた。「こちら特報部」も127月に紙面化した。別の放送局メンバーによる6人のドキュメンタリー「相馬高校から未来へ」が137月、NHK杯全国高校放送コンテストのテレビドキュメント部門で優勝。同月には、日本ジャーナリスト協会(JCJ)賞の特別賞を受賞した。

6人をサポートしてきた福島県立博物館長の赤坂憲雄学習院大教授(民俗学)は、社会に受け入れられた理由をこう分析する。

「子どもは事故の影響をもろに受けるのに、声を聞こうとしても大人たちが隠してしまい、表に出なかった。そんな中で、放送局が演劇という形で生身の声を発した。大人たちにとって衝撃的で、足元を揺さぶられたのだろう」

相馬高校は、福島第一原発から約45キロの地点にある。相馬市では海岸部から高台への集団移転が進むが、2800人が仮設住宅で暮らす。隣接する南相馬市は、南の小高地区などが原発から20キロ圏内の避難指示区域に指定され、同地区の住民ら6900人が慣れない土地での生活を余儀なくされる。

両市とも海岸部はがれきこそ撤去されたものの、広い荒野が広がる。農作物は放射線量が基準値以下でも、なかなか買い手がつかない状況が続く。「復興していると感じるのは仙台とか石巻で、福島県ではいわき市ぐらい」 「この辺りは人が減って、戻らないよね」。6人は心配する。

そんな状況だからか、彼女たちの作品は福島市や南相馬市では上演されたが、相馬市内や校内からは声がかからなかった。地元には原発関係で働く人が少なくない。事故を直視することへの抵抗感は根強い。

ある相馬校生は「演劇のことは知っているけど、事故のことを見たいとは思わない」とつぶやく。渡部教諭は「事故の受け止めは生徒によってグラデーションがある」とみる。

全国的に評判になった後も、校内の雰囲気は変わらなかった。6人は地元の複雑な感情を背に、全国で上演を続けたわけだ。女子高生「麻希」役の但野仁美さん(18)は胸の内を吐露する。「つらかった。もう二度と事故のことは考えない、かかわらないって今でも思うことがある」

6人は全員が大学や専門学校へ進学する。福島に残る子もいれば、仙台、山形、神奈川へと離れていく子もいる。バラバラに巣立っていく6人が今、伝えたいこととは何か。

但野さんは「考えることはつらいけど、事故のことを自分から切り離すことはできない。福島の声は一様ではない。いろいろな人がいろいろな考えを持っていることを伝え続けたい」

音響担当の藤岡由伊さん(18)は「頑張っている若い世代がいることを忘れてほしくない」。伏見さんも「ここで元気に生きてやる」と力強い。

折笠さんは「不安もあるけど、前向きに生きていく。事故のことを忘れず、同じ過ちを繰り返さない」。渡部さんも「私たちが不安に接しながら生活していることを知ってもらいたい」。蓑野さんは「世の中はまだ不条理が多いけど、これからどうするかが重要だ。若い世代を中心に、考える機会と意思を持とう」と呼び掛ける。

放送局の活動は、後輩の12年生5人に委ねられる。今後は演劇ではなく、本来の放送活動に戻る。

タイトルに入れたままの(仮)の文字は、「伝えたいことは変わっていく」との意味が込められている。演劇活動は一区切りだが、作品の精神は受け継がれていく。放送局長の2年生鈴木萌子さん(17)は力を込めた。「先輩は、すごい作品を作り上げた。私たちもインパクトのある活動で後に続きたい」


[デスクメモ]
「相馬高校放送局のDVDを見てほしい」。201254日、こちら特報部の記者に1本のメールが届いた。お笑いヒーロー「絶対!原子力戦隊スイシンジャー」のメンバーからだった。記者はDVDに号泣、実際の舞台を見て、また号泣だったそうだ。「こんな思いを子どもたちにさせていいのか」と。(圭)



Photo

201432日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014030202000141.html

 

 

 

 

 

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