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2014年1月 3日 (金)

気になるニュース 384

 

自然が豊かなのに原発を造るのはもったいない・・・
引用書き起こし開始。

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*自然を生かし脱原発模索 新日本原発ゼロ紀行 伊方編


鮮やかな黄色い実に冬の寒さを忘れた。四国電力伊方原発を抱える愛媛県伊方町は、かんきつ類の一大産地だ。「日本一細長い」と呼ばれる佐田岬半島の先端からは豊かな漁場が一望できる。「再稼働一番手」の声が飛び交うが、地元では、豊かな自然を生かした町づくりの動きが芽生え始めた。(荒井六貴)


◆再稼働には温度差

伊方原発から約20キロ離れた伊方町三崎地区。海辺から細い坂道を30分ほど歩く。ミカンの木々が生い茂る段々畑をのぞくと、かんきつ農家の寺崎文人さん(47)が笑顔で出迎えてくれた。

「収穫が早い『天草』を採っています。2月から収穫が始まる『清見』の味は日本一。伊方では『3つの太陽』が照りつけるから味がよくなる」。3つの太陽とは「南国の太陽」「海から照り返す太陽」「段々畑の石垣から反射する太陽」を指す。

町の人口約1万人のうち、かんきつ農園で働く人は1割。かんきつが町経済を支えている。かんきつ収獲量日本一を誇る愛媛県内でも、「清見」の収穫量は全国トップクラスだ。

脱サラして稼業の農園を継ぎ、15年になる寺崎さんは「サラリーマン時代より体は動かしているけど、食事がおいしくて10キロ太った。高校生と大学生の息子にも農園を継いでもらいたい」と将来を展望する。

寺崎さんの農園から約10キロ先の佐田岬先端に向かった。瀬戸内海と、太平洋側の宇和海を結ぶ豊後水道に面した四国最西端の灯台前に立つ。遠くには大分県側の山々がうっすらと浮かぶ。段々畑とは一変、冷たい強風が吹き抜けた。

「ここは、海と山で生活を営むところ。瀬戸内海と宇和海の潮目がぶつかって、灯台の足元の岩場でおいしい海藻が採れる。フノリは1000円。血液さらさらになるよ」。観光客相手に20年以上、自分で採った海藻やウニなどを販売してきた地元の川本ヨシミさん(69)のセールストークに誘われ、買ってしまった。

伊方町では漁業も主力産業だ。漁港数は19カ所、就業人口は約600人。アジやタイの漁獲量が多い。伊勢エビ漁にも力を入れている。刺し身は最高だが、海鮮しゃぶしゃぶも格別だ。

伊方原発が20121月に全面停止してから2年。国の安全審査が進む3号機は、再稼働の「先頭集団」と目されている。海と山の幸に恵まれ、灯台などの観光資源も備えた伊方町に原発は必要なのか。町民の思いは一様ではない。寺崎さんは「農業への補助が手厚いのは原発におかげだ」と再稼働を後押しするが、川本さんは「原発はない方がいい。事故で海が汚染され、ウニが採れなくなったら死ねということだ」と言い切った。


◆町長も観光振興に意欲

再稼動についてどう思うか。さらに町中で聞いて回った。

50代の建築業男性は「福島の事故さえなければ原発は安全だと思っていた。四国電は『安全だ』という紙を配っているが、納得するわけない」と吐き捨てるように言った。

旅館業の男性(65)は「原発の危険性を考えるようになった。少しでも放射能が漏れるような事故があれば、風評被害で観光業にも打撃だ。原発で働く人もいるので言いにくいが、原発を造るのと同じぐらいの努力で廃炉を考えてもらいたい」と強調した。

原発に近づくと、再稼働を望む声は多くなった。

原発から1キロ圏内で旅館を営む大沢マツエさん(62)は「原発が爆発しなくても、生活できない状態だ。貯蓄を切り崩している」と嘆く。原発3基の定期検査や周辺の海洋調査で作業員が利用していたが、全面停止後は宿泊人数も回数も激減した。

旅館を手伝う長男(38)は約10年前、旅館を継ぐと決心し、勤務していた会社を辞めた。結婚し2人の子どももいる。今は居酒屋でアルバイトをしながら、ハローワークに通う。「長男にも申し訳ない。東京電力が事故を起こさなければ、こんなことにはならなかった。東電に補償してもらいたい。再稼働しなければ、宿を閉めんといけなくなる」

伊方町商工会によると、原発事故前に宿泊施設は約35軒ほどあったが、この2年で5軒ほどがやめた。宿泊施設の組合が127月、再稼働を求める要望書を町に提出した。

町の年間約100億円の収入のうち、電源三法交付金や、固定資産税などを合わせると原発関連で3割を占める。原発施設内の警備や飲食などで数百人の雇用があるとみられる。

そんな原発に頼る町も原発ゼロの現実を前に、変化が見られる。山下和彦町長は136月の町議会で「原発に依存した地域振興策を見直し、新たな産業の創造に取り組む必要を強く感じる」と表明。「原発を廃止する意味ではない」と付け加えたものの、原発依存の見直しに言及するのは初めてだった。

町は現在、業務委託した専門家と新たな観光戦略の検討を進めている。具体的には、佐田岬灯台での結婚式などのアイデアが挙がっている。

地元食材を使った飲食店のオーナーシェフ宇都宮圭さん(40)は「伊方には宝が眠っているのに、原発になれてしまい、生かそうとしてこなかった。原発が稼働すれば、また思考が停止する。原発のお金があるうちに、何かを見つけ、子どもたちのためにも、選択肢を増やしたい」と訴える。

伊方原発から10キロ圏内の八幡浜市で長年、反対運動を展開してきた「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」の斉間淳子代表(70)は「伊方は風光明媚(めいび)で、観光を目玉にすれば、経済的にやっていけるのを示してもらいたい」と期待する。

今春には、福島事故後初の町長選がある。「町内で話を聞くと、高齢者は再稼働するものとあきらめているが、若い人には反対の声はある。拮抗(きっこう)していると感じる。2月にはビラ配りして全戸を回り、反対派を増やしたい」(斉間さん)

町議会の原子力発電対策特別委員長を務める中村敏彦さん(56)は福島事故前から慎重派だ。「安易に原発を動かしていいわけはない。福島の事故原因が津波か地震によるのか、分かっていないし、責任も取り切れていない」と指摘したうえで、町の現状に危機感をあらわにした。「魚の価格は上がらず、かといって原発に依存もできない。日本中で脱原発の流れがあるのだから、原発に代わる産業を早く見つけんと」


[デスクメモ]
こちら特報部は福島事故後の201148月、全国の原発を歩く「新日本原発紀行」を連載した。「ゼロ紀行」はその続編だ。喜々として原発を受け入れた地域ばかりではない。止まらぬ過疎化に対抗するには、原発に頼らざるを得ない面もあった。原発に代わる振興策の議論はまだまだ不十分である。(圭)


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201413日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014010302000144.html

 

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