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2014年1月 1日 (水)

気になるニュース 381

 謹賀新年fuji
元日も全力の東京新聞。6日締め切りのパブコメはこちら
 
引用書き起こし開始。 

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*新年企画「新日本原発ゼロ紀行」 (1)福島編


私たちは新しい年を「原発ゼロ」で迎えた。原発の電力がなくなると、とても困るという脅しめいた言葉を何回も耳にしてきたが、何も困っていない。しかし、政府は原発を再稼働すべく6日締め切りで「エネルギー基本計画」のパブリックコメントを募集中だ。攻防は続いている。福島原発事故から間もなく3年。原発の地元を再び訪ねた。(榊原崇仁)


◆草の根で安心神話

福島第一原発から北西に50キロあまり離れた福島県伊達市の集落。男性の講師(51)を迎えた講演会に10人ほどが集まっていた。

「福島はチェルノブイリと爆発の規模が全然違う。だから心配ない。健康被害で裁判をしても、(被ばくした放射線量は)勝負にならないぐらい小さい」

田村市で塾を営む講師の男性は、事故直後から県内各地で講演をしてきた。「放射能を気にしすぎたら、かえってストレスで体が悪くなる」ことを住民たちに伝えたいのだという。

伊達市には特定避難勧奨地点に指定された高線量地区がある。除染も続き、隣の飯舘村の住民が仮設住宅で避難生活を送る。「みんな放射線に振り回され、疲れ切っている。いま必要なのは安心できる言葉だ」

山あいの集落での講演は伊達市が企画した。男性の講演は2012年春以降、80回以上に及ぶ。彼を起用した理由について、市側は「専門家より話が分かりやすい」と説明する。

男性は県から講演活動の費用などを支援してもらうため、「福島ステークホルダー調整協議会」という団体を設け、12年度には300万円の補助を受けた。

県へ提出した資料によると、この団体には原子力規制委員会の田中俊一委員長がかかわっていたNPO法人「放射線安全フォーラム」の多田順一郎理事、国連大の安井至名誉副学長、県立医科大の丹羽太貫特命教授らが名を連ねる。彼らの講演に男性が足を運んだことで知り合ったという。

多田氏は伊達市の広報紙に「(放射線量が)基準を超えると言って自然の恵みを諦めるのは山の神様に申し訳ない」と記し、安井氏は自身のホームページで「国際放射線防護委員会(ICRP)の委員は一流の科学者」と持ち上げる。

そのICRP委員の丹羽教授は他の委員らと1111月以降、「ICRPダイアログセミナー」を県内で7回開き、自治体や医師会、農協の幹部らを招いてきた。伊達市での開催も4回あり、仁志田昇司市長もたびたび出席している。

ちなみに仁志田市長は、同市出身の田中氏と同学年だ。田中氏は委員長就任前には、放射能対策の市政アドバイザーを務めた。

11年末に市長と出た内閣府の会合で、田中氏はこんな発言もしていた。「20ミリシーベルトを被ばくしても、それを補うには生活習慣を少し変えればいい。野菜をたくさん食べるとか」


◆海外からも伝道師

田中氏の出身団体の独立行政法人・日本原子力研究開発機構は事故後、福島の小中学校や幼稚園などで放射線質問会を230回開き「100200ミリシーベルトの短時間被ばくより、喫煙の方ががんのリスクは高い」と説いてきた。丹羽教授の県医大も136月から、80近い学校などを巡って「放射線の影響で甲状腺がんが出るのは事故から4年後」と触れ回っている。

福島市で講演した京都大原子炉実験所の今中哲二助教はこうした動きを「彼らは『リスクコミュニケーション』という言葉をよく使うが、『事故による健康被害のリスクはない』と言葉巧みに言い含めるだけ。リスコミではなく、あれはスリコミだ」と皮肉った。

ただ、こうした「安心神話」の伝道師は海外からもやって来ている。代表格が、丹羽教授らの対話集会に出席したフランス人のジャック・ロシャール氏だ。

ICRP4委員会の委員長で、フランスの「原子力防護評価研究所(CEPN)」の所長も務める。

「国際原子力ロビーの犯罪」の著者で、同国在住のジャーナリスト、コリン・コバヤシ氏は「フランスの原子力庁や、世界最大の原子力産業グループ・アレバが一体となってCEPNを設けた」と説明する。

ロシャール氏はチェルノブイリ事故後の1996年から5年間、ベラルーシを舞台にした放射線防護計画「エートス・プロジェクト」を主導した。住民自身が身近な場所で放射線を測って被ばくを避ける試みで、08年のICRP勧告111で紹介されている。

このプロジェクトについて、コバヤシ氏は「ロシャールは経済学者。カネのかからない防護策として住民に責任を委ねる手法を考え出した。汚染地域に住み続けることが前提なので、健康被害が広がったという報告もある」と酷評する。

ただ、エートス・プロジェクトは1111月に内閣府の「低線量被ばく管理のワーキンググループ」でも取り上げられた。福島県でも、共通の方向性を持つ市民団体「福島のエートス」が設立され、ロシャール氏とも接触している。

「こちら特報部」は「福島のエートス」や丹羽教授に取材を申し込んだが、「理解が浅い」「多忙」などを理由に断られた。

ただ、取材を進めると、ICRP勧告111はロシャール氏が主筆を務めたことが分かった。つまり、自分の試みを自分で高く評価していたことになる。

日本への導入では、ロシャール氏と親交のある丹羽教授が橋渡し役を務めている。内閣府のワーキンググループや規制委員会の検討チームに入り、勧告111の和訳の出版に携わったほか、139月の原子力委員会の定例会議の席上、「福島のエートスという組織がある。覚えておいてほしい」と発言していた。

安全神話は福島事故で崩壊したが、「安心神話」は国際的な力を背景に広がりつつある。福島県は12年に国際原子力機関(IAEA)と復興支援の覚書を交わしたが、実施要項には「一方が秘密指定した情報は公開しない」という怪しい一文が盛り込まれた。

IAEAはかつて「チェルノブイリで被ばくに起因する健康の変調はなかった」と、健康被害の実態を過小評価する報告書をまとめたことがある。ただでさえ、公開性に疑問のある福島県の県民健康管理調査への影響が懸念されている。

IAEAは覚書に基づいて、15年夏に三春町にできる「県環境創造センター」に拠点を設ける。同町在住で、福島原発告訴団長の武藤類子さん(60)は「国際的にも、原子力ムラは福島に本腰を入れている。これには、県民の怒りで対抗するしかない。勝負は秋の知事選だ。県民の思いをつなげたい」と話した。


[デスクメモ]
明けましておめでとうございます。めでたいとはナニゴトかとしかられそうな世相ですが、時は止まらず、正月は来る。ともに今を分かち合えることを喜びたいのです。恥知らずと無知が大手を振るいがちです。自らを省みる好機かもしれません。巻き込まれず、あらがい続けます。ことしもご愛読ください。(牧)


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201411日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014010102000109.html 

 

 

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