« 気になるニュース 317 | トップページ | 気になるニュース 319 »

2013年11月17日 (日)

気になるニュース 318

 

全政治家に読ませたい・・・
引用書き起こし開始。 

------------------------------------------------------------- 


【時代を読む】 透明性ない国家に信認なし/内山節 


特定秘密保護法案は、政府が国民に教えたくない情報を合法的に隠蔽(いんぺい)できる法律である。しかも「秘密情報」を教えることを求めた人まで処罰されるのだから、議論する気にもなれないほどにひどい法案だといわなければならない。 

しかもこの法案の危うさは、国民の知る権利だけにあるのではない。その危うさは国家とは何かということ自体にかかわってくる問題である。 

国家はシステムにすぎない。古代には古代国家のシステムがあり、戦前には戦前の国家システムがあった。国家が維持されるためには、このシステムに国民が反抗できない状態が保持されるか、国のシステムを国民が信認しているかが必要であった。前者は抑圧的な国家、後者はいわゆる民主的な国家のかたちである。 

抑圧的な国家は、国民を押さえつけることができなくなったとき崩壊する。とすると民主的な国家はどういうときに崩壊するのであろうか。それは国民が国家のシステムを信用しなくなったときである。 

歴史を振り返ってみると、国家システムが信用を失ったとき、国は支配力を弱体化させた。日本でいえば敗戦直後はそんな状況だった。誰も国のシステムを信用せず、それぞれが自分の身を守るために生きた時代だった。日本はその後に、戦後民主主義と高度成長によって国家システムへの信認が高められていったが、世界的にはそれとは違う動きをした国がいくつもある。より強靭(きょうじん)な国家システムを求めて、ファシズムへの道を歩んだのである。それは民主的な国家の崩壊だった。 

国家は決して盤石なものではないのである。それはもろく、壊れやすいものである。抑圧的な国家が突然崩壊の日を迎えるのと同じように、国民がシステムを信用しなくなったとき、民主的な国家もまた崩壊への道を歩む。とするなら、政治は国民からの信認をたえず高めるための努力を怠ってはいけないはずである。 

そのために最も重要なことは政治の透明性である。どういうプロセスをへて政治方針がつくられていったのかを明らかにしながら、決して一部の人たちの利益を代弁しているのではないことを、政治家は示し続けなければならない。可能な限りの情報を公開し、オープンな政治を心がけなければならないのである。 

ところが最近の首相の演説を聴いていると、まるで戦中の大本営発表のようだ。あのときは日本軍の勝利、勝利の連呼だったが、いまでは経済は回復しつつあるということの連呼だ。そこに国民の目を引きつけながら、自分たちの都合のいいように政治を私物化していくやり方も似ている。 

そのひとつが特定秘密保護法案であり、原発事故によってもたらされた現実を直視しない原子力政策である。さらに解雇しやすい雇用制度を特区なども交えながらつくろうとか、社会保障制度の変更とか。TPPや農業政策にも同じことがいえるだろう。 

国民に寄り添い、国民とともに考える姿勢がなければ、国民は次第に国家というシステムを信用しなくなっていく。繰り返すが国家はシステムでしかなく、そのシステムが国民の信認を失えば、国家は崩壊の道を歩むのである。 

大本営発表的な言動や、それを支持する人たちの大合唱によって国民を引きつけながら、都合のいい国家をつくろうとするなら、その先に待っているものは、ファシズムの予兆を帯びた不安定な時代の到来でしかない。(立教大大学院教授、哲学者)


Photo_3


20131117日 東京新聞朝刊4面 「時代を読む」より 

 

 

« 気になるニュース 317 | トップページ | 気になるニュース 319 »

ニュース」カテゴリの記事

無料ブログはココログ