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2013年11月 5日 (火)

気になるニュース 294

 

一番弱い者が犠牲になる・・・
引用書き起こし開始。

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*福島 増える不登校 転校強制なじめず


福島第一原発事故は地元住民の生活を一変させた。子どもの多くは心の傷を負い、不登校として問題が表面化しているケースもある。事故直後、無理やり強いられた転校による引きこもり。2年半以上たっても避難生活の終わりが見えず、我慢の限界を超えて不登校になった子どもも目立ち始めている。(榊原崇仁)


◆遅い対応 「もう行政頼まない」

「学校に通っていないと『だらしない』って非難される。だけど、悪いのは原発でしょ。住み慣れた家も友達も奪われ、娘は突然転校させられたのだから。文句を言う人には『ふざけるな』と言いたい」

不登校になった中学2年の長女の母親(33)は怒りをあらわにする。

一家が暮らしていた町は現在、帰還困難区域に指定されている。事故直後は、栃木県内の親戚宅に身を寄せた。長女は環境の激変によるショックで、小学校に行けなくなり、引きこもるようになった。

福島に戻る方法を模索し、事故から約4カ月が過ぎた7月の終わり、原発から60キロほど離れた仮設住宅に入った。かつて暮らした町の住民の多くも入居してきた。

帰還のめどが立たない地域の学校の一部が、子どもたちの避難先で授業を再開していた。母親は、長女が顔なじみの子どもたちと再び学べることを期待したが、かつて自宅があった地域の小中学校は再開しなかった。

長女は仮設住宅のある地区の学校に通わざるをえなかった。「新しい学校の教室には知らない子ばかり。福島に戻っても状況は変わらなかった」。結局、長女はずっと心を閉ざし、引きこもりを続ける。

最近になって、町の教育委員会がようやく再開の検討を始めたが、「今さら何を」と冷めた保護者が少なくない。

母親の気持ちもそれに近い。長女のほかに2人の子どもがいる。2人は仮設近くにある小学校に通い、既になじんでいる。「2人はたくさん友達ができたから、『もう転校したくない』と言っている。今になって再開して、うまく運営できるのだろうか」と心配になる。

母親は仮設住宅の窮屈な生活も子どもたちにストレスを与えてきたと考えている。62間と4畳半の広さは、一軒家の自宅と比べると相当に狭い。仮設では、ベニヤ板の壁の向こうから聞こえてくる隣家の話し声が気になってしまう。

原発事故の避難者らを援助する子ども・被災者支援法が議員立法で20126月に成立した時避難中の保護者は何らかの改善を期待した。しかし、対象地域を線引きする放射線量の基準策定が難航し、国は支援の基本方針を1年以上も決めずに放置した。先月、ようやく基本方針の閣議決定があったが、内容はスクールカウンセラーの配置などで、目新しい対策はほとんどなかった。

政府の態度からは、本気で子どもの支援をするつもりはないように受け取れる。母親は「行政には頼れないということですよね。待っている間に子どもは大きくなってしまう」。


◆親の不安 いら立ち伝染 生活立て直し不可欠

文部科学省の調査では、福島県内の小中学生のうち、不登校の日数が1年間に30日以上だった子どもの割合は、原発事故前まで減る傾向にあったが、2012年度は増加に転じた。

県教委は「原発事故との関連は今後分析する」と理由についての説明を避けるが、県教職員組合の菊池ゆかり女性部長は「教諭たちからは、被災した子どもの不登校がさらに多くなっていると聞いている」と語る。事故直後は避難先でなじめないことが不登校の主な理由だったが、最近は不登校を招く種が増えているという。

福島で心の相談に関わる東北福祉大の渡部純夫教授(臨床心理学)は「事故収束や除染の遅れから、先を見通せない親がいらだっている。家庭内で声を荒げたり、手を出したりしている」と説明する。心が落ち着くはずの家庭で、子どもたちは逆にストレスをため込んでいる。また、思春期を迎え、不満を募らせることもある。いつまでも元の生活に戻れない状況に納得できないようになると、心に変調を来してしまうという。

渡部教授は「徐々に我慢の限界に近づいている。高校生になると、不登校以外にも、飲酒や喫煙、学校の中退といった問題行動にも出てしまっている」と話す。

政府による避難指示がなかったが、原発事故の影響を恐れて自主的に県外に避難をしている家庭でも、不登校が問題になっている。

自主的に避難した人には国の支援がほとんどなく、両親がともに働きに出ることが多い。山形県米沢市教委の担当者は福島から避難した子どもの不登校の存在を認め、「忙しい両親にかまってもらえず、慣れない土地で不安ばかりを募らせている」と明かした。

自主避難の場合、父親が福島に残って働き、母親と子どもだけが県外に出るケースも目立つ。ここにも問題があるという。

母親は避難先で友人をつくれないと、夫がいないため誰にも相談をできない。ストレスをため込むと家庭に悪影響を与える。夫以外の男性を家に連れ込み、子どもがふさぎ込む例も報告されている。

そもそも、父親が普段一緒に生活しないことは、不登校になった子どもを支える上でマイナスだという。

福島県臨床心理士会東日本大震災対策プロジェクトの成井香苗代表は「母親と比べると父親の方が、一歩引いた視点で子どもを見つめられる。不登校のようなつらい状況を乗り越えるには、父親のような冷静なまなざしでアドバイスすることが必要だが、母親は甘やかすことが多い」と語る。

福島大の筒井雄二教授(実験心理学)は「専門家のカウンセリングは心の痛みを一時的に緩める対症療法にすぎない」と述べ、子どもの心を守るための処方箋をこう示す。

「不登校の原因は子ども本人というより、親の不安定な生活にある場合が多い。だからこそ、親が将来を見通せるように事故の収束や復興を急がなければならないし、経済的な不安を打ち消す対策も欠かせない。逆に言えば大人たちの生活を立て直さない限り、子どもたちの心の不調は完治しない」


[デスクメモ]
転校した時、なかなかなじめなかった。子どもの多くは遠慮も配慮もしない。その輪に後から参加するのは難しい。父親の転勤で、毎年のように転校した先輩は「子ども時代の友人はいない。故郷がない」と嘆く。大人の勝手で転校を強いるのは避けたい。ましてや原発事故のせいでなんて許されない。(文)


Tokuhou

2013115日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013110502000140.html


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