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2013年10月 7日 (月)

気になるニュース 245

 

JA「精密な数値は重要ではない」・・・? 努力して作ったものが13円で売られる農家の気持ちは・・・
フードベース23はこちら
引用書き起こし開始。

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*福島農家 放射性物質と苦闘 測定値もっと精密に


福島第一原発事故後、迎えた3度目の秋。福島の農家は今も放射性物質の影響から抜け出せず、福島産は地元でも敬遠されがちのままだ。農作物に含まれる放射性物質を減らす努力を続ける農家もあるが、農地の除染は全体として進まない。消費者の不安にこたえるため、含まれる放射性セシウムが限りなくゼロに近い一ベクレルまで検査できる体制を求める声もあるが、道筋は立たない。(荒井六貴)


「除染に取り組み、農業を続けていく」

夫と二人で福島市内でナシを栽培する農家の阿部一子さん(59)。果樹園はJR福島駅から約5キロの場所にある。

原発事故の起きた2011年、地元のJA新ふくしまから「この地域ではナシもコメも作れる。心配せず作ってほしい」と言われ、除染には手をつけなかった。収穫したナシは最大で放射性セシウムが1キログラム当たり28ベクレルが含まれていたが、基準値以下のため販売することはできた。

「樹皮に付着した放射性セシウムが実に移る」という研究者の指摘があり、昨年1月、ナシの樹皮を手作業で削った。全400本。終えるまでに2カ月かかった。現地調査に来た大学教授からは「地面の表土をはぐと効果的だ」とアドバイスを受け、自ら表土の削り取りを始めた。土壌の放射性セシウムを測ると、1キログラム当たり約8600ベクレルの場所もあった。

ナシ園は1.2ヘクタールと広く、「そこまでしなくても」と夫はあきれた。阿部さんは「少しでも」と頑張ったが、10本の周囲をはぎ取るのがやっと。そんなころ、市が果樹園の表土を削る事業を始め、今年36月、委託業者が地面から5センチの深さまでの土を除去してくれた。

事業に応募した果樹園農家は少数で、市内の果樹園の総面積約2000ヘクタールのうち、対象はわずかに約8ヘクタール。除いた土の置き場を農家が確保しなければならないという条件があったからだ。阿部さんの果樹園では土の総量約630トン。梅の木を2本切って用意した。

気がかりは、埋めた汚染土を入れた合成化学繊維製の袋の耐用年数。「7年」とされ、市農業振興課の担当者は「それまでに置き場を探す」と言うが、今でも見つからないのに見つかるのか。

阿部さんは結婚後は転勤族の夫に付いて各地を転々としたが、夫が実家の農家を継ぎ、1990年に福島市に移った。自身も南相馬の出身だが、農家ではなかった。

チェルノブイリ原発事故の時、三女が生まれたばかりで、欧州産の食品に不安を感じたことを覚えている。農業経験は浅いが、「生産者として、消費者が知りたい情報を出す責任がある。食品に含まれる放射性物質を1ベクレルまで測って知らせるべきだ」と 

思う。

阿部さんは事故後、民間の測定所や研究機関で、4種類のナシごとに1ベクレル前後まで測定を頼んでいる。去年は1キログラム当たり20ベクレル前後。今年は同1.20.8ベクレルに下がった。

問題は精密な測定に時間がかかることだ。一般食品の国の放射性セシウムの基準値は1キログラム当たり100ベクレルで、同25ベクレル以上までしか測れない機器を使う自治体が多い。つまり、同十数ベクレルが含まれていても「検出せず」の表示になる。

県環境保全農業課の服部実主幹は「検査件数は1200件近く、時間をかけられない」と説明する。精密な測定は周囲にあつれきを生む可能性もあり、JA新ふくしまの担当者は「国の基準値があり、精密な数値は重要ではない」と言う。

阿部さんは「1ベクレルまで検査する農家は少ない。下限値以下には、目をつぶりたいという思いがあると思う」と推測する。


◆地元でも減る出荷

検査の結果、「検出せず」でも「放射性セシウムが十数ベクレルは含まれていて、健康に影響があるかもしれない。特に子どもは心配」と感じる消費者は少なくない。その心理は福島県内でもあるようだ。

福島市中央卸売市場で、地元産の野菜と果物の取扱量は原発事故前の2010年と比べると、12年は76%。市場に出入りする卸業者の一人は「小さな青果店は仕入れるが、大手スーパーが控えている。さらに、学校給食で福島産を使わなくなっている影響が大きい」と話す。

県教育委員会によると、公立学校の給食の地元産使用率は10年度は36.1%。外国産も多く、数字は低く見えるが全国的には高い方だった。12年度は18.3%。保護者が地元産の使用に抵抗しているからだ。

全量検査をしているコメも、南相馬市の学校は給食で出さない。市教委の主任栄養士鈴木美智代さんは「市内にはコメの作付け禁止区域がある。福島県産に不安は大きい」と説明する。

福島市は昨年から、市内で収穫したコメを給食に出す。市教委は「丁寧に説明した」と言うが、「反対を押し切った」という保護者も。中3と小1の子がいる主婦(46)は「今も不安。給食で食べる以上、自宅では福島と北関東産の食品を子どもに食べさせない」と言い切る。

福島市で保護者らを支援する団体「青いそら」の佐藤幸子理事長は「田畑の中でも、放射能の数値は一定ではない。精密な全量検査ができない以上、子どもに地元産を食べさせるべきではない」と話す。


◆消費者側 努力する農家選び対策

「安心して食べるには1ベクレルまで測り、除染に努力する農家をサポートしていくしかない」

東京都目黒区のNPO法人「放射能測定フードベース23」代表理事の赤間保さん(47)は「努力する農家を応援しないと、逆に汚染作物が出回りかねない」と1キログラム当たり1ベクレル未満の農作物を出荷する農家を見つける取り組みを始めた。

昨春、横浜市内で1袋わずか3円で販売されていた郡山市産のナメコを検査したのがきっかけだ。「数値が高いのだろう」と思ったら、1キログラム当たり1ベクレル未満だった。

栽培した農家の男性(57)に尋ねると、事故前から残留農薬を抑えるために菌床にゼオライトを混ぜていたという。結果として、放射性セシウムがナメコに移ることも抑えていた。

ナメコの菌床を堆肥化し、男性はニンジンやエダマメも栽培しているが、こちらも1ベクレル未満だった。男性は「頑張ってもなかなか売れない。それどころか、周辺県の農家からは、つられて価格が下落するから福島産のナメコを出荷するなと言われる。名前は伏せておいて」と話す。

フードベース23は福島名産のモモを調べた。すると、4050ベクレルの検出が相次いだが、白河市の北条雄三さん(56)が栽培したものは1ベクレル未満だった。

モモはナシと異なり、実の育ちが悪くなるため木の樹皮を削れない。そのため、北条さんは木の表面に水を高圧で吹き付けて洗浄していた。

しかし、取り組みにもかかわらず、北条さんの作る農作物は原発事故前の9割程度にとどまる。北条さんは「精密に測定してもらえて自信になった。役所でも1ベクレルまで検査して、努力している農家がいることを知らせてほしい」と訴える。


[デスクメモ]
「福島のコメの味は新潟と変わらない。魚沼産の産地偽装がはやった時、使われたのは福島産だった」。昨秋取材した福島県本宮市のコメ農家は妙な自慢をしたが、いただいた新米の「五百川」はとてもおいしかった。続いて取材した農家のお土産はナス。「不安なら食べなくていいぞ」と言われた。(文)


2013107日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013100702000146.html


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