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2013年9月20日 (金)

気になるニュース 219

 

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引用書き起こし開始。

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*防衛大綱見直しの目玉 「敵基地攻撃能力」の危うさ


安倍カラーが前面に躍り出た。12日の国家安全保障戦略(NSS)の有識者会議など、時代を画す安保防衛指針の変更が進められている。焦点の一つは「敵基地攻撃能力」。年末までに見直される防衛大綱に明記されそうだ。本紙は2006年作成の航空自衛隊の文書を入手した。そこには敵基地攻撃能力の追求が記されていた。それどころか、現場ではすでに先取りの形跡すらある。(小倉貞俊、田原牧)


【敵基地攻撃能力】
ミサイル攻撃を受ける兆候を認めた際、ミサイルや発射台に限らず、運用基地や地域を先制攻撃する能力。1956年の政府答弁では「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」と、保有を否定しなかった。だが、同時に、歴代政権は攻撃的脅威を与える兵器を常備することは憲法の趣旨に反すると解釈してきた。


◆「敵基地攻撃」を追求 安保改定論議に先行

「国家安全保障戦略と防衛大綱をあわせて議論していただく」

安倍首相は12日、首相官邸での「安全保障と防衛力に関する懇談会」(安防懇)の初会合で、そうあいさつした。

安防懇は、臨時国会に設置法案が提出される国家安全保障会議(日本版NSC)の理念に当たるNSSを提言。その内容に沿って防衛大綱が見直され、NSSとともに年内に閣議決定される。

今回の防衛大綱の焦点は海兵隊機能の導入とともに、敵基地攻撃能力の保有にある。

7月の防衛省の中間報告は「弾道ミサイル攻撃への総合的な対応能力の必要」として敵基地攻撃能力保有を示唆、小野寺五典防衛相も「憲法上、(保有を)許される」と前向きだ。だが、憲法による専守防衛原則からの逸脱との批判がある。

ただ、現場ではすでに先取り的な動きがある。先月13日付の「こちら特報部」が報じた米空軍の演習「レッド・フラッグ・アラスカ(RFA)」への航空自衛隊のF15戦闘機編隊の参加だ。

米軍の戦略爆撃機B52による爆撃を空自編隊が援護する共同訓練で、敵基地攻撃の航空版である「攻勢対航空」訓練の一環として実施された。

「こちら特報部」はこの訓練に関連する空自の内部文書を入手した。

空自幹部学校が063月にまとめた「航空自衛隊ドクトリン等に関する調査研究」だ。ドクトリンは「基本的な原理・原則」を意味する。

小泉政権末期、航空幕僚長あてに作られた。序文には「(ドクトリンの役割は)軍人の判断基準を示す」ことで、「抑止を前提とした従前の考えでは、新たな脅威への対応には限界がある」という認識を示している。

そのうえで「政治が決定する任務や役割を受けて対応するという受動的姿勢」からの転換を訴えて、「国軍化に相応(ふさわ)しい理念の追及」を研究意義として強調している。

この文書で「取り扱いは慎重を期すことが必要」とされた部分がある。「防衛大綱等の防衛政策を超える行動と考えられるもの」で、「ただし、将来に備えて準備研究することは継続して実施」するとしている。

そこには対核兵器作戦や宇宙作戦と並び、「攻勢対航空・戦略攻撃」が挙げられている。つまり敵基地攻撃能力だ。

「与党国防部会でも検討すべきこと」とされていることを研究の理由に挙げつつ、この部分の詳細については「現時点での文書化は相応しくないと判断」したという。

こうした敵基地攻撃への積極的な姿勢が、アラスカでの日米共同訓練の裏側に透けて見える。


◆現場では既定路線?

敵基地攻撃能力の保有とともに、集団的自衛権の行使容認に向けた動きも急だ。17日には首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が再開された。年内にも容認を柱とした報告書が出されそうだ。

安保法制懇は第一次安倍政権当時に設けられ、座長代理の北岡伸一国際大学長は、安防懇でも座長を務める。「憲法解釈の番人」である内閣法制局の長官には先月、第一次政権時の安保法制懇で立案事務に携わった小松一郎氏が起用された。

元外務省中国課長の政治学者、浅井基文氏は幹部自衛官である制服組のドクトリン研究文書と、安保法制懇が前回の安倍政権での議論をまとめた報告書(08年)の重なり具合に着目する。

空自文書では、研究目的として「将来の憲法改正、集団的自衛権の解釈変更」 「『空軍』への態勢・体制の変革」への対応を挙げる。浅井氏は「安保法制懇が設置される以前から、制服組は集団的自衛権の行使容認や空軍化を『当然そうなる』とみなして議論を進めていた。その内容が有識者の報告書にも反映されている」とみる。

さらに空自文書には「米軍又(また)は他国との連合を実施する場合」という想定も示されている。浅井氏はこの部分を「アジア版の北大西洋条約機構(NATO)」形成を目指す意欲と読み取る。

「集団的自衛権の行使容認に基づいた自衛隊の多国籍軍への参加を視野に入れている。08年の安保法制懇の報告書を超えた内容で、これは米国の要求とも一致する。これからの安保法制懇などでの議論が今後、ここまで進んでくる可能性を示唆していると言える」

安倍政権が目指す集団的自衛権の行使容認と、敵基地攻撃能力の保有という二つの課題はどう結びつくのか。その答えは先に紹介した米軍演習(RFA)での空自部隊による援護訓練から浮かび上がってくる。

現時点での敵基地攻撃の想定は「北朝鮮が日本へ向けてミサイルを発射しようとする事態」とみられている。

問題は敵基地攻撃の中身だ。軍事専門家らの間では、ミサイル発射の機能を奪うことは極めて困難という見方が強い。

04年度の防衛研究所の研究論文でも、1991年の湾岸戦争での米軍を例にミサイル発射機が移動式の場合、「地上で撃破することはほぼ不可能」 「攻撃能力を整備しても(中略)リスク、費用に見合った効果がない」としている。

このため、実際にミサイル攻撃を止めるには「攻撃すれば、激しく報復される」という“脅し”に等しい抑止力を構築することが浮上する。

だが、日本は憲法上、戦略爆撃機などを持たない。ゆえに米軍の戦略爆撃機と一体となった敵基地攻撃の態勢づくりが必要とされる。RFAでの援護訓練はそのためで、集団的自衛権の行使容認は米軍の協力を得るための担保と考えられる。

新しい防衛大綱には、敵基地攻撃能力の保有が明記されそうな状況だ。これに対し、軍事ジャーナリストの前田哲男氏はこう警鐘を鳴らす。

「敵基地攻撃能力による抑止力が発揮されるのは、冷戦期の米ソのように絶えざる対話があることが前提だ。しかし、日本と近隣アジア諸国には現在、そうした関係はない。明記されれば、いたずらに周辺国を挑発、刺激して、軍拡をエスカレートさせるだけだ」


[デスクメモ]
空自文書の一部には現在の隊員には生死をかける精神的基盤がないと書かれている。理由を「戦前の旧軍における精神主義が招いた歴史的事実を反面教師として、軍事組織に必要な精神的要素を否定した結果」と説く。危うい。旧軍の亡霊を見る。兵舎の空気は広がる。「はだしのゲン」騒動が好例だ。(牧)


2013920日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013092002000158.html


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