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2013年9月13日 (金)

気になるニュース 211

 

土建屋と旅館に・・・
引用書き起こし開始。

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*20年五輪で土建国家復活か 大型事業にうずまく思惑


「夢よ、もう一度」とでもいうのか。2020年の東京五輪開催を契機として、「土建国家」がよみがえろうとしている。景気上昇を合言葉に、リニアや環状道路、都心直結鉄道などを一気に進めようという声が出ている。前回東京五輪は高度成長期のさなかだった。低成長、成熟社会の今、大型公共事業に多額の税金をつぎこむ意味はあるのか。(荒井六貴、上田千秋)


◆経団連会長がリニアに期待

「東京ー大阪間ではなくても、せめて名古屋まで乗れればと思う」

経団連の米倉弘昌会長は9日、リニア中央新幹線の前倒し開業に期待を寄せる発言をした。前回1964年の東京五輪時に東海道新幹線が開通したことを想起したらしい。

リニア中央新幹線は来年度中に着工し、東京・品川ー名古屋間が2027年に開業する計画。45年には大阪まで延伸する。総事業費は駅建設を除き8.4兆円に上る。JR東海が、ほとんどを負担することになっているが、駅周辺の整備などは自治体が担当する。

JR東海幹部は「土木工事に10年は必要」と話しており、今のところ五輪開催に間に合わせるのは無理のようだ。

国などが事業主体になると想定される成田空港と羽田空港を結ぶ「都心直結線」。「20年代の整備に向けた検討」という位置付けだが、五輪を契機に弾みをつけたいという思惑がある。

都営地下鉄浅草線の押上ー泉岳寺間に並行して約11キロの新線を建設。両空港間を59分で結ぶ。総事業費は4000億円に上る。国土交通省の幹部は「五輪で勢いがついた。開幕までに開業するのは物理的に難しいが、五輪後の東京の経済を支えるために必要だ」と主張する。

東京都大田区は、JR・東急蒲田ー京急蒲田間の約800メートルを結ぶ「蒲蒲線」の開通に期待を寄せる。これも国などが事業主体となり、事業費は1080億円。吉田春彦・交通企画担当課長は「五輪をきっかけにしたい。開幕までに完成できれば」と意欲をにじませる。

江東区には、五輪の競技会場にも近い豊洲から住吉を結ぶ5.2キロの地下鉄を開通させたい思惑がある。事業費は1260億円で、「スケジュール的には厳しいが、都や国に建設を求めていく。五輪後、人口減社会になっても、採算は取れる」と訴える。

鉄道だけではない。高速道路の建設も早めようという動きがある。

圏央道(約300キロ)、外環道(約85キロ)、中央環状線(約47キロ)の三環状道路。現在の開通区間は合わせて計画の6割ほどだが、五輪開幕までに9割に上げる。

外環道の練馬ー世田谷間(16.2キロ)の開通時期は決まっていなかったが、国交省は「五輪に間に合うよう、調整していく」と勢いづく。五輪会場から遠い千葉県を通る圏央道の大栄ー松尾横芝間(18.5キロ)も開通時期は未定だったが、地元自治体などから早期建設を求める声が高まっている。

前回の東京五輪開催に向けて建設された首都高速道路は、50年近くが経過し、改修が必要な時期を迎えている。20年の五輪開催前に一気に進めるべきだという意見もある。だが、改修費は全体で1兆円弱かかる見込みだ。税金を投入する可能性もある。

東京五輪は、既存施設をなるべく利用し、狭い範囲に集めるなどしてコンパクトな五輪を目指すとしている。開催費用は7340億円。約4割の3183億円を東京都と国が負担。残りは民間資金だ。都は4000億円を開催準備金として積み立てており、猪瀬直樹知事も最終プレゼンテーションで資金的には心配ないことを強調した。

だが、これらの費用は、五輪開催に直接関わるものだけをカウントした数字だ。選手村の最寄り駅となる大江戸線勝どき駅や既存道路の拡張のほか、環状2号や首都高中央環状品川線の整備などに6392億円を見込む。

政界や経済界では、早くも五輪特需への期待が高まっている。菅義偉官房長官は9日、「極めて大きな経済効果がある。五輪決定を機会に日本発展に結び付けていきたい」と、景気浮揚につなげたい考えを強調した。

確かに、戦後復興の象徴となった前回の東京五輪の際には、さまざまなインフラが整備され、東京の風景を一変させた。

五輪に向けて、そこら中でつち音がする突貫工事だった。首都高の一部は6212月に開通。夢の超特急と呼ばれた東海道新幹線は開幕直前の64101日に開通した。環状7号などの幹線道路も次々と建設された。羽田空港へアクセスする東京モノレールが開通したのは同年9月だ。

当時は毎年、実質国内総生産(GDP)の成長率が10%前後を記録するなど、高度成長期真っただ中。高齢化率も6%という”若い国家”だった。人口も右肩上がりで増加していた。そういう意味では、高速道路や新幹線の整備は必要な時代で、国民からも望まれていた。

今は違う。成熟した社会となり、基本的なインフラは整備されている。成長率は2%にとどまり、高齢化率23%。少子高齢化が進み、人口減少も続く。国の借金は1000兆円を超える。税収を上げるために、消費税の増税を迫られている。


◆被災地の復興 遅れに拍車も

東京ばかりに投資が集中すれば、地方との格差はさらに広がり、埋めがたいものになってしまう。

東日本大震災の復興にも影響を与える恐れがある。被災地では建設資材や作業員の数が慢性的に不足気味だが、五輪絡みの工事に取られてしまえば、これに拍車がかかる可能性がある。

岡山大の中村良平教授(地域経済学)は「五輪関連の事業にばかり予算を回すと、復興予算や社会保障費にしわ寄せがいく。被災地のための費用はきちんと確保しておく必要がある」と指摘。「五輪に便乗した無駄な工事にお金をかけるよりも、五輪後にやってくる『五輪不況』に備えたり、少子高齢化対策や省エネルギーの開発など、ソフトの部分に投資した方がいい」と話す。

ジャーナリストの斎藤貴男氏も「国として伸び盛りだった64年の時は開催する一定の意義があっただろうが、今は状況が違う。原発事故の被害者らの対応が先だろう」と主張する。

帝京大の大坪正則教授(スポーツ経営)は「最近の五輪はスポンサー収入や入場料などで、よほど下手な運営をしない限り赤字になることはないので、基本的には都だけで対応できる。国に建設業界などからの要望があったとしても、極力排除しなくてはいけない」と過剰な投資にくぎを刺す。

「このまま東京ばかり整備が進むと、地震などの天変地異に襲われたときに日本全土が機能不全に陥ってしまう。せっかく五輪が開かれるのだから、疲弊が進む地方の活性化をはじめ、日本全土の発展を考えて予算を使う必要がある」


[デスクメモ]
高速道路に新幹線、そして東京タワー。映画「三丁目の夕日」に描かれた時代を懐かしむ空気がまん延している。ノスタルジーに浸りたい気持ちはよく分かる。すべてが前向きで成長していたように見える。だけど、あんな時代は二度と来ない。冷静な判断をしないと、大きな負の遺産が残るだけだ。(国)


2013912日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013091202000151.html


 

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