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2013年8月30日 (金)

気になるニュース 197

 

な~んだNSAと同じか・・・
引用書き起こし開始。 

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*室内盗聴も検討 盗聴拡大狙う刑事司法制度改革


一連の冤罪(えんざい)事件や検察不祥事を契機に始まった刑事司法改革。捜査当局の「焼け太り」になりかねない状況は今年1月、「こちら特報部」でも報じた。その後、議論の舞台である法制審議会(法制審)の下部機関での検討内容は怪しさを増すばかり。導入を狙う新捜査手法でも、盗聴(通信傍受)の拡大は必至。室内盗聴まで俎上(そじょう)に上っている。政府は来春の通常国会で法案を提出したい考えだ。(出田阿生、榊原崇仁)


◆刑事司法改革の流れ

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◆刑事司法改革 盗聴の制限 大甘に

「捜査機関が都合良く盗聴できるようにするだけ。国民の生活がどう脅かされるなんて、まったく考えてない。知らない間に思想、信条を盗み聞きされる時代が来る」

神戸学院大の春日勉教授(刑事訴訟法)はそう憤る。怒りの矛先は、法制審で進む通信傍受(盗聴)法の改定議論だ。

法制審の特別部会が1月に示した「基本構想」では、盗聴の対象拡大のみならず、室内に盗聴器を仕掛ける「会話傍受」も検討するよう提案。現在、作業分科会で細部を詰めており、10月以降の部会で見解をまとめる流れになっている。

現行の通信傍受法は国会で大もめにもめた末、1999年に成立した。対象は薬物・銃器犯罪、組織的殺人、集団密航の4罪種。傍受の際には、通信事業者(電話会社の職員)が立ち会うことになっている。記録媒体はその都度、裁判官へ提出しなくてはならない。

日本弁護士連合会(日弁連)刑事法制委員会事務局長の山下幸夫弁護士は「現行法は制定時の強い反発もあり、一定、抑制的だった」と話す。

現在、分科会で事務局から提示されている内容は通信傍受法の対象を広げ、運用制限を一気に取り払おうとするものだ。

対象は従来の罪種に窃盗、強盗、詐欺、恐喝、殺人、逮捕・監禁、略取・誘拐を加え、「その他重大な犯罪であって、傍受が捜査手法で必要かつ有用であると認められるもの」まで広げられる。

運用面でも、通信事業者の立ち会いは省き、捜査機関の施設で通信を受信できるようにするとしている。裁判官への提出も一事案の傍受を終えた時点で一括にする。

724日の分科会では簡素化した場合、捜査機関に通信を送信した際の負担について通信事業者から報告を受けた。

春日教授は「事務局案の通り、傍受対象を広げれば、ほとんどの犯罪で傍受できるようになる。立会人を省けば、抑止力もなくなる」と語る。

「怖いのは捜査機関が『犯罪関連の会話』を拡大解釈すること。市民が知らないうちに盗聴されるケースが急増する」

こうした対象の拡大と手続きの簡素化は、警察側の要望だ。5月の分科会で、警察庁の島根悟刑事企画課長(当時)は「携帯電話は主要な犯罪ツール。一般国民が標的になりうる犯罪はかなり広く取り込んでほしい」と発言した。

春日教授は「個人のプライバシーにどこまで踏み込んで良いのかという議論がすっぽり抜け落ちている。憲法が保障する個人の権利より、捜査の利便性が優先されつつある」と警鐘を鳴らす。

プライバシーの侵害がより強く懸念される盗聴器を使った会話傍受も盛り込まれつつある。

現在、対象として想定されているのは、対立抗争時の暴力団事務所や幹部の車両、振り込め詐欺の拠点事務所、泳がせ捜査の配送物などだ。

「暴力団や組織犯罪に立ち向かうためには必要悪」という議論は一見、説得力がある。しかし、作家の宮崎学氏は「警察が捜査権限を拡大したいだけ」と切り捨てる。

「日本は凶悪犯罪の検挙率が3割と低く、警察に対する国民の不満が募っている。焦った警察は『暴力団』なら一般の理解を得やすいと考え、彼らを隠れみのに新しい武器を手に入れようとしているのだろう」

歴史的にも「暴力団対策」を口実にした法律が治安立法に化けるケースは珍しくない。58年に施行された凶器準備集合罪はその後、デモなどの鎮圧に多用された。

宮崎氏は「会話傍受も暴力団対策にとどまるとは思えない。何か口実を付けて一般人を無理やり拘束する手段になりかねない」と懸念する。

山下弁護士もこう訴える。「捜査機関の権限拡大は、捜査権乱用の危険につながり、冤罪を生む土壌になる。暴力団や振り込め詐欺集団を対象にした盗聴の拡大といえば、市民は自分とは無縁だと思いがちだが、それは常とう手段。冤罪はある日、突然降りかかる」


◆可視化骨抜き 権限ばかり強化 有識者委員「ガス抜き」

刑事司法改革の出発点は、2010年に法相の私的諮問機関として設置された「検察の在り方検討会議」にさかのぼる。郵便制度不正事件で担当検事による証拠品改ざんが発覚した通称「村木事件」がきっかけだった。

在り方会議は「取り調べや供述調書に依存しすぎる捜査や公判を見直し、取り調べ可視化の制度化」を提言。これを具体化するため、法制審に特別部会が設けられた。

ところがふたを開けると、まるで逆の結果に。今年1月末に特別部会がまとめた「基本構想」は捜査権限を強化する内容が中心となった。

通信傍受拡大などの口実は「可視化で自白が取りにくくなる」こと。別の捜査手段が必要という理屈だ。一方、全面可視化については骨抜きにする案が併記された。

在り方会議の委員だったジャーナリストの江川紹子さんは「冤罪防止が最優先だったはず。新たな捜査手法を検討するなとまでは言わないが、可視化や身柄拘束の見直し、証拠開示の改善などを実現させた後で、やるべきだ」と話す。

山下弁護士は「法制審に話し合いの場が移り、完全に流れが変わった」という。特別部会には郵便制度不正事件で逮捕され、無罪となった村木厚子厚労事務次官や痴漢冤罪の映画を製作した周防正行監督らがいる。

だが、基本構想に基づく肉付け作業をしているのは特別部会ではなく、その下の作業分科会。分科会は法務省関係者が中心で、弁護士の委員は一人しかいない。

その後、特別部会が開かれたのは今年6月の1回だけ。この席上、村木氏や周防氏は「可視化の例外が増えた。罰則と例外がひっくり返るような制度をつくるべきではない」と、基本構想を批判した。だが、こうした声は特別部会で多数派である警察・検察・法務官僚らに受け流された。

「冤罪被害者や民間有識者に意見を言わせるが、結論は変えない。ガス抜きとしかいいようがない」(山下弁護士)

作業分科会も事務局の法務官僚が仕切っている。この内容が特別部会で認められ、最終的に来春の通常国会に提出されるという見方が有力だ。


[デスクメモ]
盗聴法施行から十数年。実績を調べた。2011年には裁判所が25件の盗聴を認めたが、16件が見込み違い。通話総数で見ると、91%が犯罪と無関係の通話だった。つまり、大して効果がなかった。それでも人びとの内緒話が知りたくて仕方ない。それもできれば全て。古今東西、権力の習性だ。(牧)


2013829日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013082902000163.html


 

 

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