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2013年8月 6日 (火)

気になるニュース 170

 

与那国島の農漁業を支援したいけどどうすればいいのか・・・
引用書き起こし開始。 

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*最西端の島 与那国町長選ルポ 「10億円」で駆け引き 


日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)が、陸上自衛隊の誘致をめぐり揺れている。町長選(6日告示、11日投開票)も誘致賛成派と反対派の一騎打ちとなる公算が大きい。尖閣諸島をめぐり緊張が高まる中、最前線の島で何が起きているのか。島を歩いた。(林啓太)


「日中の緊張関係についてのニュースはいつも見ている。島に自衛隊が常駐したら、大変なことになるのではないかと心配だ」。自営業の女性(60)が話した。別の自営業の女性(48)は「自衛隊に反対する人の気持ちも分かるけど、やっぱり基地の誘致は必要。町の経済が活性化しなかったら元も子もない」。

町民の意見が割れる中、町議会は620日、陸上自衛隊の沿岸監視部隊などの施設用地として、町有地21.4ヘクタールを年約1500万円で防衛省に貸し出す議案を、32の僅差で可決した。627日、防衛省に貸し出し仮契約を締結した。町有地は、農業生産法人の南牧場社が借りて牧場として利用しており、本契約を結ぶには、補償などの同社との交渉が必要だ。

実は、防衛省は当初、年500万円で借り上げる方針だった。それが、町側の宅地並みの借地料の要求に応じる形で3倍に引き上げたのだ。

自衛隊誘致推進派の外間(ほかま)守吉町長(63)はことし3月、借地料の引き上げとともに、「迷惑料」として10億円の要求をぶち上げた。

町長は結局、町議会に議案を提出する前に、10億円の要求は撤回するが、「反対派を説得するためにも、当時は相応のお金をもらわなければならないと考えていた」と話す。

この話には、さらに裏がある。国との間で、ごみ処理や漁業関連施設などの「ハード事業」の振興策が検討されているというのだ。外間町長は「10億円近い事業負担について考えてくれている」と期待感を示した。

こうした動きに対し、「自衛隊誘致に反対する住民の会」の新崎長吉共同代表(70)は「防衛省を『お上』とあがめて10億円をもらおう、という発想がそもそも間違っている。自衛隊誘致への態度をめぐり、賛否両派で地域がギスギスするようになってしまった」と嘆く。

与那国島は周囲27キロ。日本最西端の島だ。石垣島からは124キロだが、台湾までは111キロしかない。天気の良い日は、台湾の島を望むことができる。人口1550人。サトウキビ栽培や肉牛の飼育、カジキ漁などが主な産業だ。島の医師を描いたテレビドラマ「Dr.コトー診療所」のロケ地にもなった。

島の経済は厳しい。町の2013年度予算で町税などの自主財源はわずか15%程度。島には高校もなく、人口は7年前と比べ約1割減と退潮が止まらない。3人の子どもを持つパート女性(30)は「子どもらはこの島に住み続けられないのでは」と危ぶむ。

島の診療所では軽度の風邪などなら診察できるが、重症の患者は石垣島にヘリコプターで搬送する必要がある。島内に搬送用のヘリがないため、石垣島から呼ぶのに1時間程度のロスが生じる。もし、自衛隊のヘリがあれば「緊急時に搬送してもらえるのでは」という期待もある。

国が10年に決定した防衛計画の大綱などで、与那国島に100人規模の沿岸監視隊を配備することが盛り込まれた。ことし7月に公表された新防衛大綱の中間報告でも、中国について「高圧的な対応を含め、地域や国際社会の安全保障上の懸念となっている」と指摘。警戒監視能力を向上させ、島しょ部攻撃への対応力を強化するという方針を示している。

与那国島はそれ以前から、国境の島として危険にさらされてきた。1996年には島から約60キロの海上に中国から発射されたミサイルが着弾。台湾も対抗して軍事演習を計画するなど緊張が高まったことがあった。

今は、約150キロ離れた尖閣諸島周辺に中国船がたびたび現れる。そのたびに海上保安庁の巡視船が応対するなどしている。漁業者にとっても、安心して操業のできる海域ではない。

こうした中、島民にとっても中国の脅威が強く感じられるようになっているのも確かだ。

自衛隊の活動に協力する民間団体「与那国防衛協会」の金城信浩会長は「島民も国防の意識をしっかり持たなければならない状況が生まれている。中国側から『琉球は歴史的に中国の領土だ』との過激な主張も出てきており、島民としても警戒を緩めてはならない」と主張する。「島に駐在する警察官は2人だけ。『二丁拳銃」では島を守れない。やはり自衛隊の存在が必要だ」

一方、反対派の新崎共同代表は「誰でも自分の故郷を守りたいという気持ちはあるだろうが、自衛隊を置くとなると話は別だ。自衛隊のレーダー基地などを造られたら、有事には攻撃の対象になる可能性が高くなり、かえって故郷を守れないことになりかねない」と指摘する。

今回の町長選には、3選を目指す外間町長と、誘致反対派の「与那国改革会議」の崎原正吉議長(65)が出馬を表明している。有権者数は1128人(82日現在)。外間町長は前回町長選で103票差で反対派候補に勝利した。

外間町長は「沖縄が長く、米国の占領下に置かれた歴史を考えると、反戦の意識は理解できる」とする。しかし、島のジリ貧を脱するには、自衛隊の誘致しかないと強調する。「自衛隊員やその家族が島に住むようになれば人口も増え、消費も活発になる。必然的にヒト、モノ、カネの動きが活発になる」と期待する。

一方、崎原議長は「全国の例をみると、自衛隊の基地がある地域の全てで人口が増えているわけではない。基地を誘致したところで、少子高齢化の根本的な対策にはならない」と指摘。「自衛隊の存在がかえって島の観光業に悪い影響を与えかねない」と話し、農漁業の地道な振興に活路を見いだそうとしている。

前出の新崎共同代表は、カネと引き換えに国が自衛隊の配備を進めようとしているかのような状況に、「原発が立地した地域で起きたことと同じ構図ではないか。札束でほおをひっぱたき、人の心を買ってしまうという汚いやり方は許せない」と憤る。

5日には、沖縄の米軍基地キャンプ・ハンセン敷地内で米軍ヘリが墜落した。農業を営む安慶名(あげな)勝正さん(57)は怒りをあらわにした。

「われわれ沖縄の人間は米軍基地の存在に苦しんできた。軍事基地という意味では自衛隊の基地も同じ。結局、最前線の盾にされる」


[デスクメモ]
国の施策をめぐり、小さな町が分断されてしまう。原発の誘致とそっくりだ。過疎で悩んでいることも。見返りをちらつかされることも。地縁、血縁が濃い小さな島。そこで生きていかねばならない人にとって、最善の策は何なのか。島人(しまんちゅ)だけに責任を負わせるのは、あまりに身勝手だ。(国)

201386日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013080602000137.html

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