« 気になるニュース 151 | トップページ | 気になるニュース 153 »

2013年7月23日 (火)

気になるニュース 152

 

マスコミも「ねじれ」が悪いことのように報道してますが・・・
引用書き起こし開始。 

-----------------------------------------------------------------------------


*問う参院の存在意義 ねじれ「解消」は「改善」なのか 


参院選は安倍自民党の圧勝となった。衆参のねじれは「解消」されたが、それは「改善」ではない。参院には「再考の府」「良識の府」としての役割があるはず。多数に頼んで、衆院の追認機関に成り下がれば、参院の「不要論」がますます強まるのは避けられない。参院の存在意義が今こそ問われている。(林啓太、荒井六貴) 


「(衆参の)ねじれによって政策が前に進んでいなかった。国民が安定的な勢力をわれわれ与党に与えたのは、ぶれずに政策を前に進めてほしいと考えているからだ」

安倍晋三首相は22日の記者会見で、衆参のねじれを解消したことの意義を強調した。

参院選で自民党は65議席を獲得。非改選議席と合わせると115議席となる。20議席の公明党を加えれば、与党は135議席を占め、過半数(122議席)を確保。衆参ともに与党が過半数に達した。

安倍首相にとって「ねじれ解消」は悲願だった。第一次安倍内閣で臨んだ2007年の参院選で惨敗してねじれを生じさせ、その後の野党転落につながったからだ。安倍首相は会見であらためて「ねじれの原因をつくったのは私だった」と話した。

自民党は、参院選で、原発の再稼働や環太平洋連携協定(TPP)の推進などの争点にはあまり触れず、ひたすら「決められない政治との決別」「前に進む政治」を訴え、「ねじれの解消」を目指した。

確かに、衆参のねじれは、与党の政策遂行にとって妨げになることが多い。だが、それが国民にとって必ずしも好ましくないことばかりとは言い切れない。


◆破防法やPKO抑制機能果たす

衆参のねじれ状態は戦後、5回あった。

最初にねじれが生まれたのは、第1回参院選後の194756年のおよそ10年間。参院は無所属議員でつくる「緑風会」が多数を占め、左右社会党など野党の力も強かった。この間の片山、芦田、吉田、鳩山内閣は、法案を成立させるのに苦労した。吉田内閣が反政府活動の規制を狙って提出した破壊活動防止法案では、緑風会が規制の適用条件を厳しくするよう要求、修正に応じざるを得なかった。

次のねじれは、竹下内閣の消費税導入に反発し、「おたかさんブーム」で社会党が参院選で大勝した後の89年。この時は、海部内閣は国連平和維持活動(PKO)協力法案で、自衛隊派遣の条件などで譲歩を迫られることになった。細川連立政権が成立した93年までねじれは続いた。

景気悪化などで橋本龍太郎首相の自民党が98年の参院選で大敗。後継の小渕内閣は金融再生法案で野党案を丸のみせざるを得なかった。自民党は99年に自由党、公明党と連立を組むことで解消させた。

その後が、安倍内閣で自民党が敗北した後の0709年。日銀総裁人事やガソリンの暫定税率などで福田内閣は苦しい国会運営を強いられた。

そして、今度は政権交代後、菅直人首相で臨んだ10年の参院選で民主党が敗北し、再びねじれ状態に。自民党が政権を奪い返した後も、ねじれ国会は続いていた。

こうして見ると、ねじれ状態があったがゆえに、参院が一定の歯止めやチェックの役割を果たしていることが分かる。

「良識の府」の理想を掲げる参院だが、近年は「政争の具になっている 」と批判されるような場面が目立つようにもなった。一橋大の只野雅人教授(議会制度)は「参院の権限は強く、政争の場になったら国政が混乱しかねない。それなのに野党には、与党の政策に異議があるというより、単に政局を仕掛けるために問責を乱発したり、予算関連法案に反対したりといったやり方が目立ってきていた」と嘆く。

「強すぎる参院」の役割や権限を見直すべきだという議論もある。だが、ねじれ状態が生じる前には、衆院で可決した法案が、参院でもそのまま可決、成立するケースも多かった。参院の政党化が進み、衆院との差別化が図れずに「カーボンコピー」とやゆされることもある。

ねじれの解消で、参院の「再考の府」としての機能が失われれば、参院不要論が叫ばれることにつながりかねない。

元自民党参院議員会長の村上正邦氏は「ねじれは、議会政治を成熟させる源泉だったのかもしれない。スピード重視で、さっさと法案を通すより、当時は議論ができた」と振り返る。

与党はすべての常任委員会の委員長ポストを独占し、委員の半数以上を占める「安定多数」を確保した。

だが、自民党単独では全議席の過半数に達したわけではない。参院に自民党の独走をチェックし、熟考を促すような余地はないのか。

東京大の牧原出(いずる)教授(政治行政システム)は「自民が選挙で勝てるのは、公明の支援も大きい。衆院で法案を再可決するにしても、公明の影響力を気にすることになる」と解説する。共産党の役割に注目するのは、永田町をウオッチする甲南大非常勤講師の町田徹氏だ。「共産は単独の法案提出権を得て、議論を仕掛けることができるようになった。自民党も無視はできない」と話す。

駒沢大の大山礼子教授(政治制度論)は「参院は審議の中身で存在感を示すべきなのに、『ねじれ』がなくなり、よりいっそう難しくなった。参院自民は利益団体出身の議員が多く、表ではなく、国民が見えない裏での議論が活発化することになるのでは」とみる。「強すぎる参院の権限を弱めることも検討すべきだ。存在感がなくなる懸念はあるが、審議の過程が重要。参院の審議期間を長くし、衆参合同の委員会をつくって法案を審議するなど、修正協議をしやすい制度をつくるべきだ」と提案する。

村上氏は「参院は任期が長いから、安全保障や外交問題を議論する場に特化することや、決算を重視するなど役割を明確化することが重要だ」と指摘。「党議拘束をかけるのをやめ、政党の垣根を低くすることはできる。原発の再稼働にしても、自民でも反対の議員はいるだろう。真剣な議論ができるはずだ」と唱える。

牧原教授は、こう強調した。「衆院のカーボンコピーにならないためにはどうするか。現在の制度でも、参院に原発やTPPの問題について検討する独自の審査会をつくることはできる。それは、参院の取り組みにかかっている」


[デスクメモ]
自民党に単独過半数を与えなかったのは、有権者の微妙なバランス感覚だったのかもしれない。だが、ここまで政党化が進むと、参院に「良識」を求めるのは無理なのではとも思う。向こう3年、日本政治史で重要な時期となるのは間違いない。メディアの役割もますます重くなることを肝に銘じたい。(国)


2013723日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013072302000133.html


« 気になるニュース 151 | トップページ | 気になるニュース 153 »

ニュース」カテゴリの記事

無料ブログはココログ