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2013年7月10日 (水)

気になるニュース 139

 

農業問題だけじゃない・・・なんとなくわかってる気になってるので復習→サルでもわかるTPP
引用書き起こし開始。 

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*農水産物輸出 倍増1兆円はホント? TPPで地域経済危機 


参院選の争点の一つ、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加が今月始まる。仮に聖域なき関税撤廃なら、国内の農家は大打撃を受けるが、安倍晋三政権は勇ましく成長戦略として農林水産品の輸出額で倍以上の1兆円規模を打ち出した。日本産は「安心・安全・高品質」で競争力があるというが、本当に「攻めの農業」はできるのか。(荒井六貴、小坂井文彦) 


「参院選で自民党が一人勝ちしてもなぁ…」 

自民党員で、宮城県大崎市の佐藤勝市議は、悩ましい心情を吐露する。 

「衆院選の時、TPPに反対すると言っていたのに、約束を守らない政治はおかしい。対抗する野党がいないと、牽制(けんせい)にならないのではないか」 

大崎市は仙台平野のコメどころで、人気銘柄ササニシキやひとめぼれの発祥の地だ。人口135000人のうち、2割弱が農業や畜産業に従事するだけに危機感は強い。 

市の試算では、800%弱のコメ関税などが撤廃されると、2006年度の農畜産業の生産額約212億円から63%の減少を見込み、市内経済は壊滅的なダメージだ。 

超党派の市議17人は5月、TPP参加を止めるための団体を結成。今月5日には、会長の佐藤市議ら5人が裃(かみしも)姿で、東京・永田町の内閣官房TPP政府対策本部を訪れ、担当の渋谷和久内閣審議官に、参加しないよう要請書を手渡した。 

裃の衣装には、市内で戦国時代に居城を構えた武将伊達政宗にちなみ、「決死の覚悟」の気持ちを込めたという。 

同行した佐藤講英市議(無所属)は、ひとめぼれを栽培し、ブランドの仙台牛を飼育する。「関税が撤廃されて、輸出できるといっても、個人の農家では対応できない。原発事故の風評被害もある。補償があるかもしれないが、食べてくれる人がいないのに作っても、生産意欲はわかない」 

そんな反論をよそに、政府はコメや乳製品など5品目を関税撤廃の例外に求めるが、TPP参加に前のめりだ。参院選投開票の2日後の23日から、100人体制で交渉を開始する見通しだ。 


◆生産10兆円落ち込みも 

内閣府の試算によると、国全体の経済規模を示す実質国内総生産(GDP)は、消費が3兆円、輸出が26000億円などの計61000億円の増加。安い製品の輸入による減少を差し引いても、10年後に32000億円押し上げる効果があると、おいしい未来像を描く。 

一方、10%以上の関税をかけている農林水産物33品目の国内生産額は、計7兆円から3兆円も減る。特に、コメは生産量が3割減で、生産額は1兆円も減るという。 

TPPに反対する大学教員の団体は、被害額はもっと大きいと見積もる。農林水産業だけで35千億円、輸送などその関連業を含めると、生産額が105千億円落ち込み、約190万人が雇用を失うとみている。 

東大大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は「コメや乳製品は輸入品の価格に勝てず、国内で売れなくなったら深刻だ。輸出面でも、果実などと違い、付加価値を付けるのは難しく、高く売るのは厳しい」と危惧する。 

鈴木教授は、関税を撤廃し現在の生産量を維持するために、農家への所得補償などで必要な費用は、年間4兆円に上るとみる。「国の負担が大きすぎる。農林水産業がつぶれれば、輸送や観光など他業種にも波及し特に北海道には大打撃だ」 

さらに「地方が維持できず、人が住めなくなると、都市部にどんどん人が流れる。しかし、都市部も賃金のいい働き口は限られ、貧富の差が広がる」と警鐘を鳴らす。 

「攻めの農林水産業」をうたう安倍首相は5月の講演で、「農業・農村の所得倍増目標を掲げたい」と言及した。総額3兆円から6兆円に引き上げる方策の一つが、海外への売り込みだ。農林水産物・食品の昨年の輸出額は約4500億円だが、20年までに倍以上の1兆円を目指す。 

農家や漁師が、加工や流通、販売、サービスも手掛ける第六次産業への構造改革の手助けをし、農地の集積をしやすくする法整備を進めるという。 

壮大な計画だが、「海外で売るのは難しい」と元経済記者で、学習院大学講師の栩木(とちぎ)誠氏(農産物貿易)は話す。 


◆計画過去にも 「新味はない」 

実は安倍首相は初めて組閣した069月にも「輸出は13年までに1兆円規模を目指す」と明言した。結果、中国へのコメ輸出が解禁された07年が、輸出額のピークで5160億円。正解経済の低迷や円高の影響もあり、09年以降は5000億円を下回る。「計画を7年後ろ倒しにしただけで、新味はない」 

そもそも、輸出「農産物」の大部分を占めるのは加工食品で、コメや野菜・果物は輸出全体の3%にすぎない。昨年の輸出額は約133億円。 

野菜輸出の先駆けの長野県川上村は、05年から名産のレタスを台湾に輸出しているが、輸出量は生産量全体の約0.04%。昨年、国内販売額は約75億円で、輸出額はわずか約337万円だった。村農政関係の担当者は「台湾や香港で人気が出ているが、国内販売が先。輸出を増やす予定はない」と言う。 

輸出が拡大しないのはなぜか。栩木氏は「国内消費で余った分を輸出に回しているだけでは、海外市場を獲得できない。量が安定して増えないと、輸送コストを下げられず、価格競争も無理。いかに持続的に戦略展開するかだ」と指摘する。 

日本産は海外で「安全・安心・高品質」との評価を得ているが、品質管理の説明や数値の裏付けがないと持続しないという。「原発事故以降、40以上の国・地域が今も東北地方の農産物の輸入を規制している。良いイメージを、国が担保する体制づくりが急がれる」 

また、各産地の生産者団体がバラバラに海外でアピールして共倒れになることも見受けられる。 

「輸出用の検疫所、日本産としての連携などオールジャパンの取り組みが必要。外交も求められる。大市場の中国はコメなど4品目しか輸入を認めておらず、拡大交渉をしなければならない」 

日本大の下渡敏治教授(国際フードシステム論)は「売れると思い込み、掛け声だけでは輸出は1兆円にならない。オランダの花やパプリカ、韓国のイチゴのように戦略的に輸出品目を設定した方がよい」と語る。 

日本酒には可能性を見いだす。「日本食ブームで人気が高まっている。加工品で利益率も高く、水田保持にも役立つ」とし、まず生産者の確保を訴える。「生産者の多くが引退し、作り手が高齢化していく現状を打開しないと、輸出量を確保するのも難しくなる」 


[デスクメモ] 
東北の稲作平野の小さな市で育った。80年代末まで商圏人口は25万とにぎわった。支えたのは周辺の農家だが、米価の下落や不況で商圏も衰退。「農業がダメなら町も死ぬ」は商人の口癖だった。今、農業地域の多くが質素に暮らし、国土の均衡を保つ。その実情に政治家は目を見開いてほしい。(呂)


2013710日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013071002000144.html

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