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2013年7月 6日 (土)

気になるニュース 132

 

規制の両輪だったんだ・・・
引用書き起こし開始。 

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*自民改憲草案 危うい表現の自由 


発言も表現活動も自由な社会であるのは、憲法のおかげだ。だが改憲を目指す自民党の草案は、現行の21条を後退させかねないと、危機感を募らせる人が増えている。福島第一原発事故後の警戒区域で取材し写真を撮り続けた男性が、警察の取り調べを受けた事例を基に、表現の自由についてあらためて考えた。(小倉貞俊、小坂井文彦) 


◆写真家の谷内俊文さん 「取材規制は筋違い」 

「憲法で保障されているはずの『表現の自由』がどこまで守られるのか。それを考えてもらうきっかけにしてほしい」 

3日、東京経済大(東京都国分寺市)の講義にゲストとして登壇した写真家の谷内(たにうち)俊文さん(49)はこう訴えた。 

谷内さんは、福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域に無断で立ち入ったとして、災害対策基本法(災対法)違反の疑いで警察から取り調べを受け、書類送検された。講義では、撮影した作品をスライドで紹介しながら学生に体験を話した。 

警戒区域は原発事故から1カ月余りの2011422日、災対法に基づいて指定された。社会問題に関心があった谷内さんは、原発事故直後から「ほとんどのメディアは通り一遍のことしか伝えていない。区域内に入り、自分で真実を記録しなければ」と決意。 

被ばくのリスクを追いながらも同年4月からの1年間、警察官が検問をしている基幹道路を避けるなどして、四度にわたって区域内に入り、1万枚近くの写真を撮った。 

作品は、飼い主を失って町をさまよう牛や犬などの動物、荒廃した無人の町並みなど、印象的なものも数多い。「ありのままの光景を残さなければ」と、手つかずのカレーをテーブルの上に残したまま客や店員が避難したとみられる食堂の写真も撮った。都内や出身地の北海道などで開く展示会で紹介してきた。 

警察署に連れて行かれたのは、12310日の深夜。原発事故から丸1年の現場を川内村で撮り終えて、バリケードから車のある警戒区域の外に出ようとしたところを、張り込んでいた警察官に呼び止められた。 

災対法では、災害現場での危険防止を目的に無断立ち入りが制限・禁止されており、10万円以下の罰金か拘留の刑罰が科される。ただ、谷内さんは「本来は国民の安全を守るための法律であり、情報を広める目的を制限するものではないはずだ」と考えていた。 

谷内さんは8カ月後の11月に東京地検に呼ばれた。「悪いことをしました、という調書を書かされそうになったが、そうではない、と自分の思いを説明した」。担当者からは「もう一度来てもらうことになる」と言われ、現在は起訴されるか、不起訴となるかの処分を待っている状況だ。 

同様の事例では、1111月~121月にフランス人カメラマンら5人が撮影で警戒区域に立ち入ったとして、災対法違反などの容疑で書類送検され、略式起訴後、罰金刑を受けている。 

谷内さんも、起訴となれば略式の可能性が高い。略式の量刑に同意しなければ公判になるが、「原発がある限り、人の住めなくなる場所が再びできるおそれがある。古里を失うようなつらい記憶を風化させないため、裁判になれば徹底的に闘いたい」と話す。 

警戒区域は昨年4月以降、「帰還困難」「居住制限「避難指示解除準備」の3区域に順次、再編されていった。福島第一原発が立地する大熊町は昨年12月に、最後の双葉町も今年5月に警戒区域はなくなった。 

しかし、立ち入り制限は続く。現在も、原子力災害特別措置法に基づく「緊急事態」の状態に変わりないためだ。原子力災害対策本部事務局によると、本部長である首相が制限を決められる。 


◆帰還困難区域 立ち入り制限 

住民の一時帰宅や通勤や通学の通過交通、インフラ整備事業、原発事故の収束作業、地元業者の活動は立ち入りが認められるが、申請した「通行証」を持っていない人は原則出入りできない。 

ただし、無断で入っても罰則はない。市民に協力をお願いしている状況に等しいため、帰還困難区域との境界では、オフサイトセンターが民間業者に委託してゲートや柵を設けている。 

大熊町環境対策課では「今も空き巣の被害の報告がある。自由な出入りを認めると、警備が追いつかない」。取材については、双葉町住民生活課は「一時帰宅への同行は自由。記者単独での自由な取材は認められないだろう」と説明する。 

「検証 福島原発事故・記者会見2─ 『収束』の虚妄」の著者でフリージャーナリストの木野龍逸(きのりゅういち)氏は「原発事故の悲惨さや重大性は、現地に入って取材しないと伝わらない」と話す。警戒区域での取材に許可が出ず、木野氏は業者に同行して12年に取材して回った。 

「情報公開の時代。法の運用の中で、政府は取材を認めるべきだった。同行取材でも、警察に職質された記者もいる。こそこそした取材を強いられるのはおかしい」 

木野氏は2ヵ月前、帰還困難区域を取材した。「倒れた自転車は、最初の時と同じ状態だった。大手メディアの記者も順番に現地の様子を自分の目で見た方がよい」 

立ち入りを制限された区域内の取材をめぐり、「表現の自由」で抗議した例もある。ジャーナリストで弁護士だった故日隅(ひずみ)一雄氏は昨年5月、浪江町が警戒区域内の牧場経営者に対し、牧場の映像をインターネットで流すことや、記者の同行を制限したことを、憲法が禁じる「検閲」と訴えた。講義を受け、町は制限をしないことを確認した。 

集会・結社・言論・出版などの表現の自由を保障しているのは憲法21条だ。だが自民党改憲草案では、新たに「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動(中略)は、認められない」と2項目(こうめ)を設けている。 

改憲問題に詳しい梓澤(あずさわ)和幸弁護士は「2項の運用で21条自体を骨抜きにしかねない」と指摘。折しも政府は国の機密の漏洩(ろうえい)に最高で懲役10年を科す秘密保全法の成立を目指しており、「保全法と21条の改定は規制の両輪だ。谷内さんのように『真実を伝えたい』という人を厳しく取り締まることも可能になり、ジャーナリストの存在意義も危うくなる」と語る。 


◆取材の自由を自民は危険視 

龍谷大法科大学院の石埼(いしざき)学教授(憲法学)は「人権保障の基本原則をうたった1213条にも、草案は『公益及び公の秩序に反してはならない』と付け加えている」と説明し、こう続けた。 

「総論的な両条で規定した上で、駄目押しのように個別の21条でも繰り返している。いかに自民党が表現の自由を危険視し、取材活動を制約したいかが透けて見える」 


[デスクメモ] 
「経済は任せたいが改憲は嫌」と知人は悩む。政策全てを負託して一票を投じる有権者がどれほどいるのか。だが時の権力者は「白紙委任」と受け止めたがる。衆参のねじれ解消が争点と安易に報じるのは、不都合と考える側を利する気がする。ねじれ状態が良くない政策の歯止めになることもある。(呂)


201376日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013070602000137.html

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