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2013年7月 5日 (金)

気になるニュース 131

 

ロシアンルーレット・・・
引用書き起こし開始。 

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*参院選公示~フクシマを忘れるか否かが問われている 


参院選が公示された。自民党は昨年暮れの衆院選では「原発に依存しない」と公約したが、政権に復帰するや一変。今参院選では唯一、原発推進を掲げた。福島事故に至る原発推進策は歴代自民党政権の産物だった。事故責任を誰ひとり取らないような状況下、推進した潮流が再稼働を宣言することは、事故をなかったものとすることに等しくないか。識者の皆さんに現状を例えてもらった。(佐藤圭、中山洋子) 


「事故は収束していないし、大切に育んできた土地も汚染されたまま。なのに、国も電力会社も事故がなかったかのように振る舞っている」 

福島県田村市で有機農業を営む大河原多津子さん(58)はそう憤る。間もなく、再稼働に向けた審査が始まる。あの東京電力までもが柏崎刈羽原発の再稼働を申請する。 

政府は福島現地で年1ミリシーベルトの放射線量を除染目標に掲げるが、難航している。帰還を優先し「年20ミリシーベルト以下」という放射線管理区域並みの基準が独り歩きしている。 

そうした中、「原発推進」が参院選で承認されれば、福島の苦悩は一層忘れ去られるだろう。こうした現状をどう例えることができるのか。 

同志社大大学院の浜矩子教授は状況を童話の「裸の王様」に例える。 

「金もうけしか考えていない仕立屋が、王様に偽りの豪華絢爛(けんらん)な衣装をまとわせて国民をだましてきた」。仕立屋は原発を推進してきた歴代政権や原子力ムラを指す。 

国民はおかしいと疑問を持ったとしても「賢い人たちがキレイだと言うのだから」と考えることを放棄してきた。 

しかし、国民は311で、王様が本当は裸であることに気がついた。だが「仕立屋の甘言が大きくなり、今度は見て見ぬふりを始めている」。 

「王様は裸であり、メルトダウンしている。仕立屋たちに謝罪する誠意があればいいが、そうではない。結局、偽りの衣装を賛美する声にかき消されないよう、一人一人が『王様は裸だ』と声をあげ続けるしかない」 

原発誘致を寓話(ぐうわ)として描いた作品もある漫画家の西島大介さんは、フクシマが風化していく現状を「とある村」として物語る。 

「村で悲しい出来事が起こる。責任を誰も負えないので、とりあえず村長がクビになる。誰かが死んだり、生まれたりして、村全体が悲しいことを忘れていく。でも、村にはオバケがいた。一部始終をずっと見ていて、こう言う。『また悲しいことが起きるよ』」 

西島さんは有権者に「自分の命よりも長いスパンで考えてみてはどうか。死ぬことのないオバケの気持ちで」と説く。 

元原子炉設計者で芝浦工大非常勤講師の後藤政志さんは、福島事故後の原発推進方針を「回転式拳銃のシリンダーに1発だけ弾を込めて適当に回し、頭に向けて撃つゲームのロシアンルーレットと同じだ」とみなす。 

「経済成長のために、おざなりな対策で原発を再稼働させることは、海外からはばくち好きのエコノミックアニマルにしか映らないのでは」 

『原発危機と「東大話法」』の著書がある東大東洋文化研究所の安冨歩教授は、福島原発事故を忘れつつある人びとの心理を深刻な危機にある夫婦のようだと話す。 

「浮気などが発覚し、本来なら結婚生活を続けるのが困難な事態があっても、金銭的な不安や世間体など外部の圧力で離婚できない。真面目に考えると日常が足元から崩れてしまうので、最初から問題など存在しなかったことにしたい」 

だが、配偶者への怒りや不満はぬぐえない。「そのイライラから近所に八つ当たりしたり、やけっぱちで無駄遣いをするようになる。近隣諸国との領土問題や大金をじゃぶじゃぶ投入して株価の動きに一喜一憂する状況はそれに近い」 

ただ、結論はこうだ。「自分をだまし、事実に背を向けるのは破綻への一歩。怖くても目を開ける勇気を持たねば」 

福井県小浜市の明通寺住職で、反原発運動を続けてきた中嶌哲演さんはこう例える。「一人の乗客が、満員電車で足を踏み付けられている。『痛いよ』という声が聞こえたら、踏んでいる客はまずは足をどけて『ごめんなさい』と謝るのがスジだ。その当たり前のことができていない」 

踏まれてきたのが、過疎の立地自治体であり、踏んでいるのは過剰なエネルギーを享受してきた都市住民だ。どちらも一つの社会という同じ電車に乗り合わせている。 

政権交代後、急速に進んでいる再稼働の動きについて「政府の暴走を許している国民の側にも問題がある」と嘆く。 

「安全論もさることながら『必要論』が横行してきた。じゃぶじゃぶ電気を使わせ『原発は必要でしょう』という。しかし、すでに都会にも、痛みを訴える福島や若狭の声が伝わっている」 


◆安倍政権 成長戦略の柱に 

安倍晋三首相は昨年末に政権が発足すると、民主党政権が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針を白紙に戻した。首相は1月の国会答弁で「(ゼロ方針は)具体的な根拠を伴わないもの。国民に不安と不信を与えた」と切り捨てた。その後は原発推進一辺倒だ。首相の経済政策「アベノミクス」の柱には再稼働と原発輸出が据えられた。6月に閣議決定した「成長戦略」には「原発の再稼働を進める」と明記。原発輸出では、アラブ首長国連邦(UAE)やトルコと原発輸出の前提となる原子力協定を結び、インドとの協定交渉を加速した。 

一方、311以降の脱原発の成果を次々とつぶした。「エネルギー白書」では原発ゼロ目標に全く触れず、昨夏の国民的議論で国民の多数が「原発ゼロ」を選択した結果も記載しなかった。 

総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本問題委員会は、委員の3分の1が脱原発派で、「原発ゼロ」をけん引してきたが、6月末で廃止された。 

「発送電分離」に向けて電力システム改革を進める電気事業法改正案は首相問責決議案をめぐる国会の混乱で採決が見送られ、廃案になった。 

福島原発事故被災者の健康不安や避難生活の負担解消を目指す「子ども・被災者生活支援法」は、成立から1年たっても基本方針が策定されておらず、法に基づく支援は始まっていない。 

国会の東京電力原発事故調査委員会が昨夏に衆参両院議長に提出した最終報告書も宙に浮いている。原子力問題に関する常設委員会の国会設置などを提言しているが、国会は放置したままだ。 


[デスクメモ] 
フクシマが照らした闇は原発の安全性だけではない。原子力ムラという醜悪な権力構造や、原発が労働者や立地にまつわる差別の産物であることも満天下に示した。つまり、日本社会のゆがんだ実像を可視化した。それを見なかったことにするのか否か。倫理を問われているのは私たち有権者でもある。(牧)


201375日 東京新聞:こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013070502000141.html

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