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2013年6月11日 (火)

気になるニュース 94

 

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引用書き起こし開始。 

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*選定進まぬ「余裕深度処分場」 電力業界 危機感薄く 


「トイレなきマンション」といわれる原発事業の難題がまた一つ浮かび上がった。高レベル廃棄物だけでなく、原子炉などの捨て場を選定する作業が進んでいないことが判明した。処分場建設が遅れれば廃炉作業に支障を来すにもかかわらず、電力業界や国の動きは鈍い。青森県六ケ所村にある「余裕深度処分」の試験坑道を訪ね、課題を探った。(上田千秋) 


◆六ケ所村 地下100メートルで続く実験 

在日米空軍の基地などがある青森県三沢市から北に車を走らせ、1時間ほど。日本原燃が運営する核燃料サイクル施設に入った。使用済み核燃料再処理工場やウラン濃縮工場などが立ち並ぶ敷地の一角に、直径9メートルほどの大きな入口が姿を現す。日本原燃が、電気事業連合会(電事連)からの依頼を受けて2003年から06年にかけて掘った試掘坑道だ。 

入り口から傾斜10度の坑道をおよそ1キロ歩くと、天井までの高さが約16メートル、幅約18メートルあるひときわ広い空間にたどり着いた。地上からの深さは約100メートル。地質や地下水の観察のほか、模擬廃棄物を詰めた容器をセメントやコンクリートで固め、年月とともに材質がどう変化するかなどを調べる実験が続いている。 

実験を行っているのは、放射性廃棄物の調査・研究などを担う「原子力環境整備促進・資金管理センター」。経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)からの委託を受けて、07年度に実験を始めた。 

同センターの寺田賢二チーフ・プロジェクト・マネジャーは「余裕深度処分は比較的安全性が高いので、放射線の遮蔽(しゃへい)効果よりも、作業効率を知るのが実験の主目的。狭い坑道の中で大きな重機を問題なく動かせるかといった点を調べている」と話す。 

余裕深度処分の名称は、「廃棄物に人間が接触するのを避けるため、十分に余裕を持った深度に処分する」との考え方が由来。低レベル廃棄物の中でも線量が高いものを地下50100メートルの場所に埋設し、数百年の間、管理する。運転中にも出る制御棒や一定レベルの廃液などについては現在、各原発の敷地内で厳重に管理されている。 

国の原子力委員会が1998年に示した資料によると、余裕深度処分の対象となる廃棄物は、2030年の段階で約2万トンに上る。構造物を裁断するなどして200リットルのドラム缶に詰めて固めたと仮定すると、総体積は10万本分、2万立方メートルになると試算している。 

試験坑道での実験は本年度も実施される予定になっているが、処分場の選定作業はたなざらしの状況が続いている。 

エネ庁の担当者は「放射性物質を安全に管理する技術の開発は国も考えなければいけないが、処分場を探すのは電気事業者の役割」と説明する。 

ただ、電事連の担当者意識は薄い。処分場の場所、どこが処分事業を担うかはともに未定とした上で、「処分場建設に向けた工程は、事業主体が決まってから作成されるものと考えている」と書面で回答した。 

余裕深度処分に関する処分場選定は、待ったなしの課題だ。 

事故を起こした福島第一原発14号機から出る廃棄物は通常の処分先には持ち込めないものの、それ以外でも東海原発と浜岡原発(12号機)が廃炉になり、すでに作業が始まっている。 

2003年に運転を停止し、廃炉作業が進んでいる新型転換炉「ふげん」(敦賀市)でも放射性廃棄物の行き場は決まっていない。ふげんを管理する日本原子力研究開発機構は電気事業者ではないため、電力各社の枠組みとは別に廃棄物の処分場を探すよう求められている。 

同機構の岩永茂敏・技術主席は「廃炉は技術的に難しいものではない。廃炉の先駆者といえるふげんで得られた知見を、各電力会社に伝えるのがわれわれの責務だと思っている」と力を込めるが、処分場の選定はこれからだ。 

六ケ所村の核燃料サイクル基地で、放射性廃棄物の処分が始まったのは1992年。これまでに、低レベルの中でも比較的線量が低い、ドラム缶約24本分の廃棄物を埋設した。 

しかし、地下300メートル以深の地層に埋め、約300年管理する高レベル廃棄物の処分場選定はめどが立たない。「原子力発電環境整備機構(NUMO)(ニューモ)」が全国の自治体に応募を呼び掛けているが、手を挙げたのは2007年の高知県東洋町(後に撤回)だけで、具体化したケースはない。 

高レベル、余裕深度とも処分場選定は暗礁に乗り上げたままだ。どうすればいいのか。 

首都大学東京の山崎晴雄教授(地震地質学)は「電力会社や国は、これまで国民に向き合うのを避けてきた。逃げずにきちんと説明する必要がある」と話す。放射線量が極めて高いため、地中深くに埋めたままにするのは安全とは言えないとの指摘が出ている高レベル廃棄物の処分に比べ、余裕深度処分は危険性が低いとされる。 

山崎氏は「活断層や火山のマグマだまり、地下水の流れなどは事前の調査で把握できるので、そうしたものの影響がない場所につくればいい。50100メートルの深さなら取り出すことは可能」と主張し、こう提言する。 

「このままほっておいても、『処分場イコール危険』という風評ばかり立ってしまい、何も先に進んでいかない。処分場は廃炉作業を進めるに当たって絶対に必要なもの。一刻も早く動きだすべきだ」 


[デスクメモ] 
現代の地下深い洞窟の先にあった巨大な構造物。56年前、東海村でともった「原子の火」の墓標に出合った気がした。事故は起きたが、委縮しては困る。電気事業者はもっと積極的に前に出て、処分場の立地問題で国民が議論するための情報を提供してほしい。反対は起きるだろうが最低の責務だ。()


2013611日 東京新聞 こちら特報部 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013061102000170.html

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