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2013年6月18日 (火)

気になるニュース 105

 

ニュースってか私説?
引用書き起こし開始。 

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*野蛮な記者が消えた/田原牧 


こうけんかを売られても黙っているんですか─。 

ある読者から、そう質問された。橋下徹大阪市長が一連の発言の中で「(大阪)市政記者クラブの記者が無能」と言い放った件である。 

記者クラブの一員ではないので、答えに窮した。ちなみに在阪の同業者によると、抗議はしなかったそうだ。 

記者クラブとして抗議することは案外難しい。加盟社は互いにライバルで、当局に恩を売る社も出てくるからだ。 

ただ、先例はある。有名な例は1972年、佐藤栄作首相の退陣会見だ。「偏向的な新聞」という発言に内閣記者会は会見をボイコットした。 


■伝統的な取材手法 

むしろ、在阪記者の変化が気になった。かつて事件で大阪の記者たちと競った。当局相手の激しい口調、「野蛮」なまでの追及に圧倒された。 

その気風に変化を感じたのは、JR福知山線の脱線事故(2005年)だった。JR西日本の会見で「あんたらもうええわ。社長を呼んで」と言った記者がたたかれた。 

たしかにほめられた言い方ではない。だが、土地柄を思えば、騒ぐほどのことか。そのころからか。世間では法令順守が金科玉条となり、伝統的な取材がかすんでいく。 

というのも、昔かたぎは法令スレスレを前提にしてきたからだ。自宅への夜回りといった伝統手法は、警察官ら公務員に守秘義務を破るようそそのかすことだ。醜聞の宝庫である「反社会的勢力」と関わる記者も見なくなった。 


■現実をわきまえる 

遠い昔、先輩記者に「世の中、表もあれば裏もある」と教えられた。適法か違法かは一面にすぎず、大切なことは道理にかなうか否かだと。 

人は生身だ。だから法を犯すこともある。敗戦直後、国民の多数が違法行為に走った時期がある。闇取引だ。法を厳守した判事は餓死した。 

スネに傷を持たねば、生きられない人もいる現実をわきまえ、社会の深層に迫る。そのためには上っ面のマナーや法令より、野蛮で汚れた取材が必要なこともある。取材源の秘匿はそのためのお守りである。そんな空気が薄れ、目線はどこか皮相になった。 


■うわべが本質を隠す 

少なからずの人々は、うわべが本質を隠す社会に釈然としていない。「アメリカはずるい。建前はやめた方が良い」。橋下人気はその欲求不満をくすぐった結果だ。 

だが、その橋下劇場も「法律上認められている風俗業」なる自己防衛で化けの皮がはがれた。風俗業と法律の関係こそ建前の権化だからだ。 

橋下騒動の最中、大阪で母子の餓死死体が見つかった。野蛮な記者たちが消えてしまったせいなのか。日本社会の実相を可視化させた母子の悲劇は、数日のうちに忘れ去られていった。(特別報道部) 


2013618日 東京新聞朝刊 記者の眼:メディア観望より 

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