« 気になるニュース 70 | トップページ | 気になるニュース 72 »

2013年5月30日 (木)

気になるニュース 71

 

この特集はweb記事では読めなくて残念・・・
引用書き起こし開始。 

--------------------------------------------------------------------------


*報道 地域の目線崩さず  シンポジウム「東北再生に向けた新聞の役割」 


日本新聞博物館(横浜市中区)で18日に開かれたシンポジウム「東北再生に向けた新聞の役割」では、東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県の地元4紙の報道責任者が、震災から2年たって浮かび上がった復興の課題、終わりが見えない東京電力福島第一原発事故の収束などにどう向き合い、読者に伝えていくか議論した。主な発言を紹介します。(文中敬称略)

[出席者]
岩手日報報道部長 菅原智弘氏
河北新報報道部長 今野俊宏氏
福島民報編集局次長兼社会部長 早川正也氏
福島民友新聞報道部長 小野広司氏
司会:早稲田大政治経済学術院教授 瀬川至朗氏


司会  各新聞の取り組みは。

◆岩手日報 遺族一軒一軒訪ね紙面に

岩手日報・菅原  震災で亡くなった方の遺族を一軒一軒訪ねて、亡くなった方がどういう人だったのかを紙面に残すため、昨年311日から「忘れない」という企画を始めた。津波で家屋が流され、遺影が残っていない方も多くいるが、どのような人生を送ってきたか、その一端を残したい。
今年311日までに20回掲載。延べ3252人、岩手県内で亡くなった約6000人の半分以上の方を掲載した。北海道から沖縄まで記者が出向いて取材した。

◆河北新報 「復興の陰」に光当てる

河北新報・今野  東北再生の道筋を考えてみようと、外部の方を招いて委員会をつくり、居住地の高台移転を進めましょうとか、再生可能エネルギーの開発を被災地から発信していこうとか、提言をまとめ連載した。復興予算が沖縄の道路建設に使われていることなども指摘した。
2年たって「やっぱりおかしい」というものを特集するシリーズ「復興の陰で」を始めた。解体工事では7次、8次下請けまであって地元の会社は大赤字同然で仕事をしていたり、ブローカーまがいの県外の業者が暗躍したりしていることを取り上げた。

◆福島民報 原発事故、連載で問題提起

福島民報・早川  福島県は今も57000人が県外で避難生活をしている。東京電力福島第一原発事故は過去形になっていない。原発の汚染水や地下水、内部被ばく、警戒区域の浪江町にある放射能汚染廃棄物の仮置き場、住宅除染の基準という問題がある。
県内の死者3000人のうち、原発立地地域の自治体を中心に4割近い1300人が原発関連死だ。「避難先を10カ所くらい転々として疲れている」という人も多い。問題を提起していくため、昨年秋から連載を始めた。

◆福島民友 避難家族の「岐路」たどる

福島民友・小野  他紙と違うのは、有能な若い記者を津波で一人亡くしたこと。そこから新しい報道の歴史が始まっているという感覚で臨んでいる。
3年目を迎え、読者に「何らかの決断をしていこう」というメッセージを出したい。放射能の影響の問題で、選択肢になり得るものを一つでも二つでも示していきたいという思いで、シリーズ「岐路」を始めた。原発事故で避難した家族がどういう決断をしていくのかを取り上げている。

司会  震災後のまちづくりの問題について意見を。

菅原  法の壁の問題で復興が進まない。岩手県大槌町が高台に消防署の移転用地を見つけた。法定相続人が100人以上全国に散らばっていた。大槌町は136人の職員のうち、津波で町長をはじめ40人以上が亡くなった。法定相続人を訪ね回るのは不可能。移転をあきらめた。

今野  阪神大震災後は耐震化を施してまちをつくっていく復興のあり方だった。東北沿岸部の場合、住民は「海が見えないところでおれたちは暮らしていけないんだ」と言う。海からあれほどの仕打ちを受けても誰一人海を恨んでいない。これからも海と共に暮らしていく地域だ。
かさ上げして巨大防潮堤を造るから、そこで暮らしなさい。隣の地域は高台に移転しなさい、という単純な問題ではない。まちづくりにものすごく時間がかかるというのが今回の被災地の特徴だ。

早川  福島は非常時だが、行政は平時の対応しかしていない。町が住民を連れて役場、学校を含めて別の行政体の中に入っていく「町外コミュニティー」という前代未聞の動きがある。しかし、計画は一向に進まない。国は平時のように財政需要を調査し制度設計して法律を整えて予算を付ける。でも、その間に仮設住宅で一人また一人亡くなる方が出る。この認識のずれが復興の足かせだ。

小野  福島では原発事故による不動産の賠償がようやく動き出した。もともと浜通りの過疎地域の物件は安い評価になる。避難先は都市部で、生活再建できるほどの賠償額にならないのは明らか。法律で対応するため国会で論議されているが、国の対応は遅いし、東電はもっと遅い。地元メディアがどう指摘していくかが課題だ。

司会  復興に向けて新聞が果たす役割は何か。

今野  阪神大震災では全国で関心が持たれるのは2年までという話があった。今やるべきことは「風評」と「風化」という2つの風をどうするか。
今年3月の特集紙面で、福島産のコメを買った男性の「風評に惑わされる人はいつの時代もどこにもいる。だけど被災地を応援している人は何十倍もいる」という話を載せた。被災地の農産物の安全性を科学的根拠で示しても、子供には食べさせたくないという親とはかみ合わない、非常に難しい。
単に311の大津波と原発事故を忘れないでというのではない。本当の風化とは、あの津波と原発事故の映像や報道を見て、被災地のために何ができるかという気持ちを持ったことを忘れることだ。
早川  被災者になって初めて分かったことがある。日常に身を置いている人たちと被災者の目線は違うということだ。
マスコミの常識では日常的でないことがニュース性を判断する一つだ。ところが、非日常の世界では、まともなことがニュースになる。たとえば「水が出る」 「食料品を売っている」 。どうやったら日常生活に戻れるのか、前の生活を取り戻せるのか、ニュースの価値判断の大きなポイントになっている。

小野  関東、全国の人に、福島の今の放射線量が低くなっているという情報をどうやって理解してもらうか、地元紙では難しい。細かい膨大な量のデータを全国紙やテレビが報じるのは難しい。今すぐには解決策がない課題だ。


2013530日 東京新聞朝刊 「311後を生きる」より




« 気になるニュース 70 | トップページ | 気になるニュース 72 »

ニュース」カテゴリの記事

無料ブログはココログ