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2013年5月30日 (木)

気になるニュース 69

 

国民の慧眼・・・じゃあ無理だな・・・
引用書き起こし開始。 

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*アベノミクス効果を首相のお膝元で見る 


7月の参院選まであと2カ月。安倍政権の支持率は堅調だ。侵略発言をめぐって外交上の不協和音が生まれても、株価が乱高下しても、「景気回復」の4文字が支持率を支えている。しかし、本当に経済は回復しつつあるのか。首相の選挙区は衆院山口4区。その中核都市である山口県下関市を歩いた。そこでは厳しい雇用環境や円安の副作用にあえぐ生活者たちの不満が募っていた。(荒井六貴)


「アルバイトをしているが、月10万円を切ることも。正社員になりたくても、仕事が見つからない。結婚もできない」

下関市のハローワーク前で、求職中の男性(33)がそうこぼした。

この3月、市内を暗い影が覆った。市内有数の事業所で、携帯電話部品などを製造していた三井金属の子会社「エム・シー・エス(MCS)」が工場を閉鎖した。

かつては約1800人が働いていた。男性も派遣社員として勤めていたが雇い止めにあった。業績不振と歩調を合わせるように、同市の人口はこの5年間で1万人減り、28万人になった。

MCSでは夜勤もあったが、収入は月20万円以上。社会保険など福利厚生もよかった」

閉鎖の理由は競争力の低下だ。一時は携帯部品の一部で、世界トップクラスのシェアを誇った。だが、韓国や台湾のメーカーに押され、人員整理も追いつかなくなった。

正社員こそ他のグループ会社に移れたが、非正規労働者を中心に、今も約100人が失業したままの状態だという。

同様にMCSに派遣社員として勤めていた別の男性(35)はMCSを去った後、愛知県内の自動車部品工場で期間工として働いていた。しかし、重い部品を運んでいたせいで、右足を痛めて雇い止めになり、帰郷した。

「身障者の母親が受けている障害者年金も削られ、生活は苦しい。(株価上昇で)誰かがウハウハしているかもしれないが、私ら末端には何もいいことはない」

工場閉鎖の悪影響は周辺にも広がっている。

工場近くで雑貨店を経営する男性(65)は「工場で働く人たちが、たばこや飲み物を買ってくれていたので閉鎖は痛い。若い客は増えないし、地元の高齢者が亡くなるまでの営業だ」と話す。

県内一の歓楽街、豊前田商店街は週末にもかかわらず、人影はまばらだった。飲食店を営む女性(25)は「今年に入って、売り上げがどんどん落ちている。底が見えない。安倍さんは日本をどうこうする前に、下関をどうにかして。都会の景気がよくなっても田舎まで響かない」と切実だ。

下関の主要産業は水産業だ。その現場はどうなっているのか。

山口県以東機船底曳網(そこびきあみ)漁協の宮本光矩組合長(65)はこう語る。

「景気が上向くまで、こちらが耐えられるか。厳しい勝負。円安で漁船の燃料費は、昨年暮れと比べて2割は上がった。発泡スチロールの出荷用の箱も値上がりし、どの船主も厳しい状況。安倍さんは地元の人だから、この苦境は理解してもらっているとは思うが」

組合所属の底引き網漁船は1980年代には50隻ほどあったが、現在は14隻。今年も4隻が廃船した。さらに燃料費の高騰で、今月31日の禁漁を待たずに、全ての船が休漁した。

下関漁港での水揚げの主力魚種はカレイやアンコウなど。10年前には5万トンを超えていたが、3万トン台まで落ちた。

ある漁業者(53)は「昨年の衆院選では、漁業団の上の方から『安倍さんが総理になる。恥はかかせられない』と言われ、投票した。でもなあ…」と言葉少ない。

フグの取扱量で全国有数の南風泊(はえどまり)の魚市場。水産会社の社員(40)は「株高もあと何年したら、こっちに波及してきてくれるのか。その前に消費税も上がる」と不安げだ。

フグを入れる水槽を管理する作業員(70)は「株を持っている人が、もうかるだけ。アベノミクスの影響は下関まで来ないよ。首相になったからといって、地元にカネが落ちるというのは過去の話だ」とあきらめ顔だ。

アサリの輸入商社に勤務する男性(36)は「転職を考えている」と話す。円安で輸入価格が上がって、業績が悪化した。

以前は海の玄関口として活況を呈していた唐戸商店街。シャッターが下りた店が多い。200店舗のうち、営業するのは約150店だという。

呉服屋の経営者(71)は「客が郊外の大型店に流れてしまっている。ここではアベノミクスの効果は無縁」とこぼした。下関は中国や韓国と近い。外国人客を見込みたいが、中韓の貿易船の入港実績は芳しくない。中韓に強硬姿勢を続ける政権について、経営者は「経済を考えれば、仲良くしてほしい」と語った。

商店街で飲食店を経営する女性(62)は「きょうのお客は3人だけ。車も手放し、運転免許も更新しなかった。転落するかどうかの瀬戸際を歩いている」と嘆いた。

「大企業は円安でいいのかもしれないが、こちらは関係ない。次は消費税。安倍さんに貧乏人の気持ちは分からない」


◆人為的バブル 崩壊後の混乱怖い

アベノミクスは強力な金融緩和策を推し進める「金融政策」、公共事業予算を拡大する「財政政策」、規制緩和を核とする「成長戦略」 の 「3本の矢」で構成される。金融緩和と公共事業拡大は実施されているが、成長戦略は判然としない。

立教大の平川克美特任教授(戦後経済史)は「アベノミクスは金融緩和や公共事業で、無理やり人為的なバブルをつくっている。恩恵を受けるのは一部の投資家や富裕層や大企業だけだ。安倍首相の地元だろうが関係ない。庶民生活には還元されない」と指摘する。

アベノミクスに一定の効果はあったのか。平川氏は「あったとすればデフレ脱却だが、景気回復にはつながらない」と断言する。今のデフレは経済政策の欠陥で起きたのではなく、日本経済が成熟し、需要が頭打ちになった結果とみるためだ。

仮に自動車関連産業を中心とした輸出企業が円安で潤って下請まで利益が連鎖すれば、一定の景気回復が実現するはずだ。だが、実際は「企業側はこのバブルは100パーセントはじけると分かっているので、もうかっても内部留保に走り、富の再分配が実現する見通しはない」(平川氏)。

恐ろしいのはバブルが崩壊したときだという。「日銀の独立性は傷つけられ、通貨バランスを崩すインフレ政策という禁じ手が使われた。その影響による混乱は計り知れない」(同)

さらに、国内産業が草刈り場となる危険性がある環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加や、中小零細企業に大きな打撃を与える懸念がある消費税増税が待ちかまえている。(出田阿生)


[デスクメモ]
小泉政権下では、戦後最長の「いざなみ景気」があった。奇妙だったのは統計上は好況なのに実感がなく、格差と貧困化で世相が暗くなったことだ。それでも政権支持率は高かった。アベノミクスの3本の矢は小泉改革の焼き直しだ。今回も高支持率。問われているのは国民の慧眼(けいがん)である。(牧)


2013530日 東京新聞 こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013053002000120.html




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