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2013年5月15日 (水)

気になるニュース 46

 

時効なくなったと思ってた・・・
引用書き起こし開始。

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*フクシマ賠償「時効」特例法案のまやかし


福島原発事故に伴う損害賠償の時効をめぐり、政府は国会へ民法上の時効(3年)を過ぎても東京電力に賠償請求できる特例法案を提出した。ところが、被災者らから法案を懸念する声が上がっている。というのも、時効中断の対象が原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)での係争案件に限られているためだ。日本弁護士連合会(日弁連)も特例法とは別の立法措置を求めている。(上田千秋、小倉貞俊)


「政府は特例法案によって『時効後でも損害は賠償する』とアピールしているが、その中身はでたらめ。被災者は切り捨てられかねない」

福島県会津若松市に避難している南相馬市や浪江町などの住民でつくる「原発事故被災者相双の会」の国分(こくぶん)富夫代表代行(68)はそう憤る。

特例法案は原発ADRでの東電との和解交渉が不調に終わった場合、民法上の損害賠償請求権の時効(3年)を過ぎていても、交渉打ち切り通知を受け取ってから1カ月以内であれば、裁判所に賠償請求訴訟を起こせるという内容だ。

だが、国分さんは「対象は原発ADRに申し立てている被災者だけ。約16600人しか利用していない上、管理が滞っている。もし十数万人が殺到したらパンクする。不調後、提訴するにしても1カ月で準備するのは困難だ」と、制度の不十分さを列挙した。 



国分さんは避難指示解除準備区域の南相馬市小高区出身。現在は妻の美枝子さん(65)、孫2人と借り上げ住宅に住む。昨年6月、「政府と東電に適切な賠償対応を求めていこう」と同会を結成し、原発事故損害賠償集団訴訟の第2次提訴の原告団長も務めている。


東電による賠償の時効をめぐっては今年1月、広瀬直己社長が「3年間でおしまいとの考えはない」と語った。しかし、その翌月、特別事業計画には「(時効は)賠償請求を促す書類を受け取った時点から3年間」と記された。「社長発言や政府法案で『時効がなくなった』と誤解し、安心しきっている人たちも少なくない」(国分さん)

一方、最短で来年3月に時効を迎える可能性も予想される中、厳しい精神状態に追い込まれている被災者も少なくない。

事故直前に小高区で自宅を新築した男性は「雨漏りやシロアリ被害で荒廃し、住める状態ではなくなった。住宅ローンも終わっておらず、ささやかな人生設計も崩れてしまった」と嘆く。子どものいる家庭からは「賠償打ち切り後に放射能での健康被害が出たら、どうなってしまうのか」とおびえる声もある。

国分さんの一家も、借り上げ住宅の期限は再来年3月まで。故郷の放射線量は高く、自宅も建て直さなければ住めない。

美枝子さんは「苦しまなくてすむのは寝ているときだけ」と漏らす。国分さんは「事故は収束しておらず、孫たちもばらばらに避難しており、私たちが故郷へ帰る選択肢は消えつつある。政府と東電は避難区域を細分化して帰還を促し、賠償の支払いを減額したいのだろうが」と話した。

ちなみに原発ADRの審理は、現段階でもスムーズに進んでいるとは言いがたい。13日までに処理が終わったのは、申し立てた6374件(16544人)のうち、3587件にとどまる。

「なかなか審理されずに1年ぐらい放置されたこともあるし、原発ADRの存在すら知らない被災者も珍しくない。そもそもADRや裁判所の受け入れ態勢自体が不充分で、特例法は絵に描いた餅といえる。どうすれば、こうした被害者無視の発想が出てくるのか」

福島原発事故の被害者たちへのサポートを続けている「東京災害支援ネット(とすねっと)」代表の森川清弁護士はこう語気を強める。

森川弁護士が根本的な疑問と指摘するのは、事故が現在進行形で、村外の全容すら判明していないにもかかわらず、加害企業である東電が時効の内容について主張し出したという点だ。

東電は今年2月、損害賠償の時効の起算点を「損害賠償請求の受け付け開始時点」などとする見解を入れた特別事業計画を公表した。

例えば、20114月分の精神的損害は、受け付けが始まった同年9月を起算とし、まだ賠償について受け付けていない土地・建物に関する時効は全く進行していないとしている。

さらに、東電から送られる請求などのダイレクトメール(DM)を被害者が受領した段階で時効の進行は止まり、その時点から3年起算し直すことも明記している。このため、東電広報部は「実際には、時効によって賠償を受けられなくなることはないと考えている」と説明する。

一見、親切そうにも見える内容だが、森川弁護士は「DMは東電が被害者と考えている人にしか送られていない。その他の被害者もいる。避難生活の中でなくした人もいる」と反論。東電が「個別の事情を考慮して柔軟に対応する」と述べていることについても「今までだって、個別の事情に応じてはやっていなかった。まったく信用できない」と切り捨てる。

低線量被ばくの影響についても、数十年後にどんな健康被害が出てくるかは未知数。東電の内藤義博副社長は国会で「晩発性の障害も因果関係がはっきりすれば、賠償する」としているが、因果関係を誰が立証するのかには言及していない。原爆や公害では、被害者に立証責任が課せられ、「泣き寝入り」を強いられる根拠になった。

このため、森川弁護士や日弁連は民法の規定を適用しない特例法の制定を訴えている。

前例はある。鉱物資源の開発ルールなどについて定めた「鉱業法」は「進行中の損害についてはその進行がやんだ時から起算する」と規定。2004年の鉱山でのじん肺訴訟で、最高裁も「加害行為が終了してから相手の期間が経過した後に損害が発生する場合には、損害が発生したときが起算点となる」という判決を出している。

森川弁護士は「放射性物質の影響も、どのように、いつ表れるかは予想できない。状況に応じて時効を延ばせるようにするべきだ」とみる。

前出の国分さんも「時効による賠償切り捨てという理不尽がまかり通れば、『原発事故の後始末は終わった』として、国や電力会社は再稼働に動きだすだろう。二度と国民に同じ苦しみを味わわせないためにも、国と東電には責任を果たさせなければ」と語った。


[東電への損害賠償請求] 

基本的に ①直接交渉 ②原発ADRの和解仲介 ③訴訟─の3つがある。一般に直接交渉で妥結しなかった場合、原発ADRに和解仲介を申し立てる。仲介が不調で、裁判所に提訴する人もいる。ただ、手持ちの資金に余裕がない被災者は内容が不服でも、直接交渉で決着する人が多い。

[デスクメモ] 

「侵略」の定義がないとか、公娼(こうしょう)制度を肯定したりとか、そういう話が飲み屋の戯れ言ではなく、公人の議論のネタになる。その隙に救済の衣をまとい、賠償切り捨ての特例法案が提出される。下品の極みだ。これも弱肉強食のグローバル資本主義の病理がまん延してきたせいだろうか。(牧)


2013515日 東京新聞 こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013051502000150.html


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